Project/Area Number |
22K00235
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
|
Research Institution | Shizuoka University (2023) Waseda University (2022) |
Principal Investigator |
辻 佐保子 静岡大学, 人文社会科学部, 講師 (30757141)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | ラジオ / ミュージカル / アーカイブ調査 / メディア文化 / アメリカ演劇 / 劇作法 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ミュージカル研究とラジオ研究を架橋して作劇の方法論を言語化することを目的としている。その過程で、先行研究の価値体系から外れ、これまで必ずしも大きく扱われてこなかった実践にも光を当てていく。また、ミュージカルでもラジオでも、劇作法の考察は最終的にテーマ性の検討へ回収されることがしばしばだった。本研究では、ミュージカル作家が音や声、歌、言葉をどのように編成し、語り歌う行為にどのような機能を付与し、どのように観客へ聞かれようとしていたかという問題に対し、ラジオでの表現法を補助線に新たな考察を加える。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2022年度にニューヨーク公共図書館にて収集したエイブ・バロウズのラジオ台本の整理を、『ダフィーズ・タヴァーン』(Duffy's Tavern)という番組を中心に実施した。2023年度は1941年3月から1942年6月までの台本の精読を進め、タイトルに冠されているにもかかわらず番組中に一切登場せず声も発さないDuffyなる人物の表象を入り口に、台本作家エイブ・バロウズが『ダフィーズ・タヴァーン』において視覚情報が希薄なラジオというメディウムの特性といかに対峙して番組のスタイルを確立していったかという問題について検討した。以上の分析の結果を、2024年1月6日に成城大学で開催された西洋比較演劇研究会で、「アメリカン・ミュージカルの作劇をラジオ・コメディから照らし返す --『ダフィーズ・タヴァーン』を例に」というタイトルで研究発表を実施した。 また2023年度には、次年度の研究を進展させるべくニューヨーク公共図書館へ調査出張へ赴き、エイブ・バロウズの初期ミュージカル作品の草稿や批評記事を集中的に収集した。当初はブロードウェイ・デビュー作『ガイズ・アンド・ドールズ』(Guys and Dolls)とピューリツァー賞受賞作『努力しないで出世する方法』(How to Succeed in Business without Really Trying)に関係する資料のみを調査する予定でいたが、1951年に上演されたレヴュー作品『通路に二人』(Two on the Aisle)もラジオやテレビとの関係から検討する意義のある作品であることを発見し、草稿や手紙、批評を閲覧・収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、2022年度収集した資料を分析し、研究発表へと結実させることができた。 1940年代のラジオ・コメディ研究を追いかけつつ、エイブ・バロウズが『ダフィーズ・タヴァーン』の筆頭台本作家であった時期の前半2年間において、番組の構造や音声の劇的効果がどのように変遷しているかを論じることができた。 また研究発表の場で、しつこく電話をかけてくるものの音声は一切ラジオの聴衆には聞こえないDuffyというキャラクターの存在論は、メディアだけでなく戦争という切り口からも検討可能ではないかと指摘が出た。次年度は、『ダフィーズ・タヴァーン』の後半2年間の台本分析を「メディア」と「戦争」という視角から進めながら、エイブ・バロウズが脚本を執筆したブロードウェイ・ミュージカルにおいてラジオ執筆経験が何をもたらしたかを考察したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は最終年度に当たるので、これまでの議論と研究成果を踏まえつつ、① 『ダフィーズ・タヴァーン』全体を扱った論文と、② 『ダフィーズ・タヴァーン』とミュージカル作品の連関・切断を扱った論文を投稿することを目指す。アメリカン・ミュージカルとラジオの関係は、ミュージカル研究とラジオ研究双方において展開の余地が残されている。本研究課題が国際的なミュージカル研究・ラジオ研究の発展へと資するものとなるべく、論文のうち一本は英語で執筆し、国際雑誌へ投稿する予定である。
|