Project/Area Number |
22K00273
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01080:Sociology of science, history of science and technology-related
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木下 浩 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (50838092)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 紀明 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 准教授 (00422379)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 隔離病舎 / 避病院 / 伝染病 / 感染症 / 病人史 / コレラ |
Outline of Research at the Start |
これまで明らかにされてこなかった市町村に設置された隔離病舎・避病院について、その実態を解明する。具体的には、隔離病舎の建築場所や構造物、設立年代などでその概要を明らかにするとともに、隔離病舎内で行われた医療行為やその従事者などについても調査していく。感染症の治療としての隔離とそれを担った隔離病舎が、実際に利用する患者・病人にどのように受容されたのか、病人史の視点から隔離病舎の社会における存在意義について考察する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度に引き続き、岡山県に設置された避病院や隔離病舎についての残存資料の情報を収集し、実際に資料の確認や撮影を行った。調査機関としては、岡山県立記録資料館、岡山県立図書館、岡山県議会図書室、倉敷市歴史資料整備室、広島県立文書館などである。これらの調査によって、これまであまり知られていなかった避病院・隔離病舎の資料が少しずつ明らかになってきた。特に避病院・隔離病舎は当時の市町村単位で造られていったので、例えば旧牛窓村の隔離病舎の資料などという特定の避病院・隔離病舎についてある程度の全体像などが明らかになってきた事例などが現れたのは大きな成果である。また、確認された資料も多様で、予算や決算資料、設計図、病室日記なども確認され、いろいろな側面から避病院・隔離病舎を見ることができるようになってきた。それらをある程度集積することによって、岡山県内における避病院・隔離病舎の存在が少しずつ概観できるようにもなってきている。 そういった情報をまとめつつ、岡山県の歴史の中に組み込んでいって、学会で発表し、参加者などから更なる情報を得る機会にも恵まれた。 更なる情報を得られた一つの成果として、岡山県旧佐伯町に避病院が現存するという情報を得、現地調査を行った。実際に当時建築された避病院がその当時のままで現存しており、現在の所蔵者への聞き取り調査を行うとともに、二度にわたって現地での聞き取り調査や簡単な実測なども行うことができた。その成果は学会で発表し、来年度報告をまとめる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅れている最大の理由は行政資料、特に保健所の資料へのアプローチが難しいことにある。避病院・隔離病舎の資料は行政文書に多く含まれていることが多く、コロナ禍で行政への資料閲覧のアプローチが難しく、特に最大の資料所蔵先と思われる岡山県や各地域の保健所へのアプローチができないことが調査の遅れをもたらしている。コロナの5類移行もなかなか行政の現場へのアプローチのしやすさにはつながっていない。今後は行政資料の調査についての方針変更も考慮しないといけない。 また、現在確認できている資料の多さも遅れている理由の一つである。資料の撮影枚数は膨大で、合計1万5,000枚を超えているが、まだ全部の撮影は終わっておらず、また調査中の資料も多く、それらが遅れの原因となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、現在判明している資料の調査・撮影と現在アプローチ中の市町村資料の調査・確認が中心となる。特に県内の保健所へのアプローチが必要であるが、現在のコロナ禍の状況で保健所に資料調査の協力が得られるかは不透明であり、難しい場合には保健所の資料調査は出版物などの限定的なものになることが考えられる。 調査が終了した資料については、適宜撮影をおこなっていくとともに、分類整理も行い、研究も進めて、避病院・隔離病舎の全体像に迫れるようにしていく。その際、必要であれば現地での聞き取り調査もおこなっていく。 また、現存する旧佐伯町の避病院については、学会などの発表と報告をおこなっていくとともに、多方面の研究者に協力を仰ぎ、調査や保存について検討していく。同時に他に現存の避病院がないかについても聞き取りなどの調査を行う。 現有資料の調査・撮影・研究と新規の資料、それに現存の避病院の情報などを統合し、岡山県における避病院・隔離病舎の実態を解明していく。特に県内での設置状況、運営方法と実際に行われた医療の内容、使われた予算など村内における避病院・隔離病舎の地位などを事例を挙げて明らかにしていく。
|