Project/Area Number |
22K00280
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01080:Sociology of science, history of science and technology-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小島 智恵子 日本大学, 商学部, 教授 (70318319)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 科学技術史 / 原子力 / 技術者教育 / バックエンド / 廃棄措置 / 廃止措置 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、放射性廃棄物の処理・処分などのバックエンド技術に関する教育の歴史的過程を調査し、その国際比較を行うものである。そしてバックエンド技術者の人材育成の困難に直面している日本のバックエンド技術教育を科学技術史的観点で考察し、その在り方を再検討する。 国際比較に関しては、原発を推進してきたフランス、脱原発に転向したドイツ、原発開発の岐路に立つ日本を比較対象国とし、原子力政策とバックエンド技術教育との関連性を追求する。そして、24基の廃炉と2492本の高レベル放射性廃棄物ガラス固化体を保有する日本において、バックエンド技術の専門家の養成と専門家が機能するような体制の構築を提言する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度(2年次)は, フランスのバックエンド技術教育の歴史を研究対象とし, フランスの原子力教育において中心的役割を果たしている 国立核科学技術研究所(以下INSTN)を事例として調査をした。 まずINSTN所長E.Gade氏から, バックエンド技術教育を専門とするMarcouleキャンパスにてバックエンド教育を担当しているV.Testard氏を紹介頂き, 同氏のご協力を得て同研究所のバックエンド教育関する資料(未公開を含む)を収集した。次にTestard氏にインタビューを実施し,そのインタビュー内容を報告書にまとめた。 1)収集資料について:①2024年度のINSTN/Marcouleのバックエンド教育プログラムは未公開であったが提供頂いた。講義は学生用と専門技術者用に分かれており, 学生対象講義は「放射性廃棄物管理(基礎)」「オペレーション・メンテナンス・ロジスティクス(基礎レベル)」「R&Dマスターコース」, 専門技術者用には「原子炉修復・解体」「放射性廃棄物管理(実践レベル)」「オペレーション・メンテナンス・ロジスティクス(実践)」「R&D 核燃料サイクルインターナショナルクラス」「放射線防護」がそれぞれ設けられている。②提携大学との共同プログラムとしては, ニーム大学と解体・廃棄物・アスベスト除去技術の専門職学位プログラム他, グルノーブル大学・モンペリエ大学・パリ国立高等鉱物学校(以下MINES Paris Tech)等ともプログラム提携をしている。 2)V.Testard氏へのインタビュー フランスにおけるバックエンド技術教育が開始された歴史的背景, フランスの原子力教育におけるバックエンド技術教育の位置づけ, 原子力発電教育とバックエンド教育の文化的違い, 若い世代に対してバックエンド技術教育を推進するための試み等に関して意見を伺った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究目的は, フランスのバックエンド技術教育の歴史的変遷と現状を把握することであるが, 以下の調査結果を得たことでおおむね順調に進展していると判断した。 1)フランスにおけるバックエンド技術教育の歴史:INSTNは,1956年の設立以来, その管理はフランス原子力庁(CEA)に委ねられている。INSTNは, 2000年から2010年にかけて解体技術に焦点を当て始め,2012年以降, 解体, 廃棄物管理に関連するコースが毎年2~4コース新設されている。フランスでは1980年から2000年にかけて, 多くの研究所で使用していた小型原子炉が閉鎖されたが, 2000年以降, 最初の「大型」原子炉を含め, 多くの施設が閉鎖されている。フランスでは、法律で即時解体が義務づけられているため, 解体開始まで数年もないという意識が高まっている。 2)バックエンド技術教育の役割:INSTNでは2015年以来, バックエンドの分野で年間650人~700人(大学生は含まない)を教育しており, 放射線防護に次いで2番目に多い。この数字は2015年以降、ほぼ安定しているが, フランスの原子力産業全体の採用ニーズは, 2023年から2033年の間に10万人と推定されており, このうちバックエンド関連は約20%を占めるとされているため, 今後10年間で増加する見込みである。 3)バックエンド技術教育の推進戦略:現存の56基の原子炉はいずれ解体されるため, バックエンドの市場はあるがそのメリットは十分理解されているとは言えない。バックエンド技術は, 学祭分野であり多くの革新的なプロセスや技術(3D BIM, ロボット工学など)を採用していること, バックエンドプロジェクトのスケジュールは2100年まで決定しており, 雇用が安定していること, 国際的先端研究であることをアピールすることが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 2023年度の継続課題 本研究は, 放射性廃棄物の処理・処分などのバックエンド技術に関する教育の歴史的過程を調べ, その国際比較を行うものである。2023年度(2年次)は,フランスの原子力教育の要であるINSTNのバックエンド教育に関する資料調査とインタビューを実施し, フランスのバックエンド教育の歴史と現状を明らかにした。一方, INSTN以外の原子力教育機関として, 国際原子力学院(以下I2EN)とMINES Paris Tech, INSTNとプログラム提携をしている大学についての調査は2024年度に実施する。 2) 2024年度以降の計画 2023年度(3年次)は, ドイツのバックエンド技術教育の歴史に重点を置く。まず国内で入手可能な資料を基にドイツのバックエンド技術教育の概略史を作成する。特に脱原子力政策下におけるバックエンド技術者の確保を検討する評価委員会が1999年に設けられた背景と, 同委員会が2000年に発表した最終報告書を受けて, 原子力技術コンピテンス同盟が設立された過程を明らかにする。また国内資料だけでなくドイツのカールスルーエ大学等での保管資料を基に高速増殖炉開発等,計画が頓挫した炉の廃止措置についても調査する。さらに同大学でのカリキュラムの内容や卒業生の進路の変遷, 学生が脱原発政策の下で原子力工学を学ぶ動機やバックエンド技術を学ぶ意義についてインタビューを実施する。初年次と2年次で考察した日本とフランスのバックエンド技術教育の歴史を念頭におき, 福島原発事故が原子力政策に多大な影響を及ぼしたドイツのバックエンド技術教育の歴史を分析する。なお最終年次2025年度(4年次)は,日仏独のバックエンド技術教育の歴史を総合的に比較検討する。
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