Project/Area Number |
22K00358
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02020:Chinese literature-related
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
羽田 朝子 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (90581306)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 梅娘 / 自伝文学 / 日本占領地 / 自伝 / ナショナル・アイデンティティ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、戦前は日本占領地で活動をし、戦後は文化大革命で批判を受けた女性作家・梅娘の晩年の自伝文学を取り上げる。その二重の民族的抑圧の経験を踏まえ、フィクション性と自己表象、戦前の文学テーマとの連続性や変容に着目して分析を行い、作品に表出された複雑なナショナル・アイデンティティを解明する。 研究方法としては、梅娘の自伝文学について基礎調査を行い、作品収集やリストの作成を行う。これにより作品の全貌を踏まえた上で、梅娘が晩年においてどのように自己を歴史に位置づけて語ったのか分析を行う。さらに戦前からの連続したテーマである日本の形象や女性観が、国家観と結びつきながらどのように変容したかを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦前に日本占領地で活動をし、戦後に文化大革命で批判を受けた女性作家・梅娘の晩年の自伝文学を取り上げ、その二重の民族的抑圧の経験を踏まえ、作品に表出された複雑なナショナル・アイデンティティを解明するものである。とくに自伝文学のフィクション性と自己表象、戦前の文学テーマとの連続性や変容に着目して分析を行う。 当該年度は前年度の基礎調査をもとに、梅娘の自伝文学の読解に着手した。主に自伝のフィクション性に着目し、梅娘がどのように自己を歴史に位置づけて語ったのかを分析し、その自己表象のありようを考察した。梅娘の自伝ではとくに戦前の日本との関わりについての記述に多くの錯誤や食い違いが含まれることから、これらについて歴史的事実や他者(梅娘の長女・柳青氏や梅娘と交流があった作家・史鉄生)による回想録や伝記、梅娘へのインタビューと比較対照しながら考察を行った。 そのほか、当初の計画にはなかったものの、戦前の日本占領地で梅娘は日本人の作家や文化人とも交流したことから、彼らの戦後の回想録で梅娘をどのように語ったのかを調査し、比較対象の材料とした。そのほか、研究テーマと深く関わる日本占領地文学に関連する研究書の精読を行った。 ただし当該年度に実施する予定であった、梅娘の自伝文学の基礎調査の一部(初出確認)や、戦後から梅娘の晩年に至るまでに中国メディアでなされた梅娘批判の文献収集については実施できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に主に予定していた、梅娘の自伝文学の読解やそのフィクション性に関する分析については順調に進んでいる。ただし、その読解や分析に関わる梅娘の自伝文学の基礎調査の一部(初出確認)や、戦後中国メディアでなされた梅娘批判の文献収集については実施することができなかった。これは国内外の公共図書館での調査のために日程を確保することができなかったためである。そのため予定よりやや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、当該年度に実施できなかった梅娘の自伝文学の基礎調査の一部(初出確認)や、戦後から晩年に至るまでの中国メディアでなされた梅娘批判の文献収集について実施する。その成果を当該年度に行った自伝のフィクション性についての読解や分析に反映させ、考察をさらに深いものにする。 それと同時に令和6年度に予定していた、戦前の文学テーマとの連続性や変容について検討する。梅娘の戦前の作品で描かれた日本の近代性や、日本女性をモデルとする母性を重視する女性観については、晩年の自伝においても形を変えながら再び語られている。こうした日本の形象や女性観の連続性や変容を読み解き、背後に潜む国家観について検討する。
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