Project/Area Number |
22K00365
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02020:Chinese literature-related
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
小松 謙 京都府立大学, 文学部, 教授 (00195843)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 読書 / 白話 / 出版 / 水滸伝 / 金聖歎 / 散曲 / 訳注 / 批評 / 変文 / 演劇 / 読者 / 白話文学 |
Outline of Research at the Start |
本研究においては、中国において近代的「読書」、つまり不特定多数の読者に向けて刊行された書籍を、不特定多数の読者が、楽しむことを目的として読むという行為がどのようにして成立し、展開していったのか、それは何をきっかけに生まれたのかを明らかにするとともに、こうした行為の発生が中国社会にどのような影響を与え、今日の社会を形成していくのかという点にまで論じ及ぶ予定である。研究を進めるに当たっては、対象を中国に限定することなく、同様の事態が他の地域ではどのように進行したのかという視点も常に導入する。具体的な対象としては、出版の展開が比較的速かった西欧と日本を想定している。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題についてまとめた論文「中国における近代的読書成立過程の研究 序説」を『和漢語文研究』第21号に発表し、更にこの視点から中国文学史を論じる著書『中国文学の歴史 元明清』を執筆、2024年度に東方書店から刊行予定である。これらは本研究の課題を具体的に論じるものであり、特に後者は、本研究の内容を一般に広く還元するものとして重要な意義を持つ。 また、『水滸伝』の詳細な訳注『詳注全訳水滸伝』の執筆を進め、第四巻・第五巻を汲古書院から刊行した。『水滸伝』は本研究において特に重要な作品であり、その内容を全文翻訳した上で、テキスト間の異同すべてを示し、異同が生じた理由を詳細に検討した上で、金聖歎の批評を全訳するなどして当時の「読書」のあり方を追究したこの著書は、本研究にとって重要な意味を持つのみならず、本研究の内容を社会に還元する点でも大きな意義を有する。 更に、この問題について詳しく論じた講演の記録などを掲載する共著書『なぜ古い本を網羅的に調べる必要があるのか』を文学通信から刊行したほか、同書の母体となった「U-PARL協働型アジア研究『水滸伝』」の『2022‐2023年度成果報告集』にも講演録その他を掲載した。 また、5月20日に開催された第67回国際東方学者会議シンポジウム「鄭振鐸『中国俗文学史』とその後」において「元代散曲は文学史上どのように位置づけられるのか」と題して発表をし、討論に参加した。この発表も、本研究と密接な関係を持つものである。 その他、主催している敦煌変文研究会の成果として、共著『「舜子変」訳注(一)』を『京都府立大学学術報告 人文編』第75号に、『同(二)』を『和漢語文研究』第21号に発表した。これも、芸能の文字化が始まる過程を示す事例として、本研究と深い関わりを持つものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
元来の計画では、この年度においては研究を進展させ、論文を発表することとしていたが、論文一本を発表したほか、最終年度に予定していた著書の執筆を完了して、来年度には刊行する予定であり、更にもう一冊を刊行すべく執筆を進めている状況にある。 更に、本課題と密接な関係にある『水滸伝』の詳細な注釈を施した訳注も二冊刊行し、その解説や注釈において、本課題に関わる問題を多く論じている。 その他にも、本課題のテーマに即した共著書一冊、報告書一部が刊行されており、合計すると、単著三冊(うち一冊は来年度刊行予定)、共著二冊、論文一本を本課題に関して発表したことになる。この他、国際東方学者会議においても本課題と関わる発表を行っており、これは、当初の計画をはるかに上回る成果といってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに執筆済みの本課題の内容を直接扱う著書『中国文学の歴史 元明清』を東方書店から刊行する。更に、本課題の研究を進め、その成果に基づいて、著書『四大奇書の誕生』を執筆して、年度中にKADOKAWAから刊行する。この書籍は、本課題の内容を総括するまとめの意味を持つものとなる見通しである。同時に『詳注全訳水滸伝』の執筆も進め、第六巻、更に可能なら第七巻までを完成させ、刊行する。これらには充実した解説を附し、注釈部分とあわせて、中国における読書の意味を明らかにするものとなるはずである。 また、国際東方学者会議で行った発表の内容をまどめて、"Acta Asiatica"に発表する。更に、主催している研究会の成果をまとめて、共著の形で『成化説唱詞話』のうち『花関索伝』の訳注を作成し、発表する。 本課題の研究はこれまで順調に進行しており、最終年度において3~4冊の著書を刊行することにより、全体をまとめて、成果を広く社会委還元することができるものと見込まれる。
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