Project/Area Number |
22K00387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
古河 美喜子 日本大学, 工学部, 講師 (80462125)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | ロバート・ヘリック / 『へスペリディーズ』 / 二重性 / 芸術的価値 / 政治的価値 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、抒情詩といういわば芸術的価値の高い形式を用いながら、内容的には社会的で政治的な価値をテクストに付加しているロバート・ヘリック(Robert Herrick, 1591-1674)の詩集『Hesperides, 1648』におけるテクストの二重性に着目する。ヘリックは『ヘスペリディーズ』の序詩「その著書の梗概」の中で自身が作品で取り上げる様々な主題を提示すると共に、「歌い手」としての人格と「書き手」としての人格を示唆する。「美学的に表現しようとする私」と「政治的に語ろうとする私」が作品世界中でどのように融合/統合されてゆくのか。この構造を明らかにしたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究開始時に立てた分析項目を念頭に置きつつ、前年度に引き続き文献整理を行うと共に、本年度は論文を纏めることができた。 これは、2021年に行われた日本大学工学部学術研究報告会にて研究発表の機会を与えられた「イギリス文学と病―ロバート・ヘリックとペスト―」がもとになっている。 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックがもたらした危機は医療だけでなく、社会、経済、更には政治にも及び、そこから得た教訓を次のパンデミックの備えにどう繋げてゆくかが今後の課題である。こうした中で、人文学の立場から歴史的視点やテクスト読解を通じ課題への対応を試みようと、危機的時代、即ち当時ヨーロッパ全土で大流行していたペストの第2波が猛威を振るう時代にあって、イギリス17世紀の王党派詩人ヘリックがどのように「生死」と向き合ったのかを考察した。 論文の中では、本研究課題の分析項目に掲げている古典古代の思想家からの影響関係、とりわけホラティウス受容について“carpe diem”(「カルペ・ディエム」)の思想から改めて確認できた。また「生死」と同様に、“carpe diem”と隣り合わせで分ち難く結びついているいわば表裏一体の“memento mori”(「メメント・モリ」)或いは“meditation”(「瞑想」)の思想について、その二重性及びヘリックが担おうとした詩人として持つべき社会的役割を検証した。そして最終的に、詩という形態を通じて示そうとした思想とは何かについて解明することを目指した。
図書(1件) 「危機的な時代を生きる―ロバート・ヘリックと病―」『危機の英米文学(仮)』、音羽書房鶴見書店、2024年5月(刊行予定)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
職場での校務従事のため予定していた研究会に参加が叶わなかったこと、文献の調査・整理にあたる時間が想定していた通りに取れなかったことが、上記の理由として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、論文を刊行物に纏めることができた。研究の遅れにつき徐々に挽回を図っている。また年末に日本英文学会東北支部大会学会への参加、東北大学附属図書館における文献調査を行い収穫を得た。しかしながら、当初計画していた内容の段階的実行に留まっている。 上記の理由から、進捗状況は「やや遅れている」とした。 次年度は、予定していた研究計画を踏まえ、研究に関連する文献の入手・成果発表の準備・学会参加を確実に進めていきたい。
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