Mobility and Self-Identity in Medieval English Literature
Project/Area Number |
22K00391
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大沼 由布 同志社大学, 文学部, 教授 (10546667)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 中世英文学 / 比較文学 / 西洋中世 / 他者表象 / 自己認識 / 移動 |
Outline of Research at the Start |
中世英文学において「移動」の概念がいかに描写され、そこにいかなる思想が表現され、それがどのように中世人の様々なレベルでの自己認識を形作ったかを分析する。「移動」の概念を、物理的移動だけでなく、古典古代からの情報の再編纂による知識の移動、情報伝達媒体の移動、言語の移動といった面からも探求し、そこにまつわる精神や思想の移動を、国家意識、世界観を含む自己認識を中心に読み解く。対象とする作品は、英語に限らず、イングランドにおいて仏語やラテン語で書かれた作品、ヨーロッパ大陸で書かれた関連作品、中世英文学に直接的・間接的に情報を与えた西洋古典作品等も含める。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中世英文学において「移動」の概念がいかに描写され、そこにいかなる思想が表現され、それがどのように中世人の様々なレベルでの自己の認識を形作っていったかを分析するものである。「移動」の概念を、旅行記のような物理的移動だけでなく、百科事典のような古典古代からの情報の再編纂による知識の移動、地図や写本の挿絵による情報伝達媒体の移動、翻訳・翻案による言語の移動といった面から探求し、そこにまつわる精神や思想の移動を、国家意識、世界観を含む自己認識を中心に読み解き、中世人のアイデンティティ形成に「移動」がどのように貢献したかを研究する。 本年は、二つ(あるいは三つ)の論文及び一つの国際学会発表を中心に研究成果をまとめた。 まず、6月に国際学会で口頭発表を行った。発表内容は、14世紀の架空の旅行記『マンデヴィルの旅行記』中に登場するインド皇帝プレスター・ジョンの扱いについてであり、他作品に現れる場合と異なるこの作品での独自性を指摘し、旅行記に描かれる移動、記述や情報の移動と自己認識に絡めて論じた。 また、西洋中世から近代の移動の概念を様々な媒体を対象として分析した論文集を編纂(共編)し、中世文学と移動の概念について包括的に論じた最新の研究書として刊行した。移動にまつわる研究の背景や論集全体の内容を簡潔にまとめた導入部を執筆し、この時代の文学研究における移動の概念の重要性を説くと共に、自身の論考では、『マンデヴィルの旅行記』の仏語版と英語版との比較から、英語版の特徴を導き出し、旅や言語の移動とイングランドという自己の認識について論じた。 最後に、他のプロジェクトとも重なる内容であるが、百科事典や旅行記を中心に、古代中世ヨーロッパの巨人像の変遷について分析した論を刊行し、そこでも自己と他者の関わりや情報の移動について扱った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
移動について様々な観点から論じた論文集を刊行することができ、これまでわかった部分をまとめるとともに、今後への課題も整理でき、研究の出発点を効果的に形成できたと考える。また、口頭発表と論文という異なる形態、国内と国外という異なる場所で、それぞれ研究成果を発信することができ、様々な方面でバランスがとれていたとも考えられる。 口頭発表については、学会の発表者を中心に国際論文集の刊行を予定しており、寄稿することが決定しているため、今後の研究の発展にもつながるものとなった。対面参加を目指していたが、コロナ禍の影響もあり、結局オンライン参加となったので制限された面はあるものの、参加者、とくに司会者との、今後につながる交流もできた。 以上を総括し、おおむね順調に進んでいると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究全体としては、中世英文学における移動の概念を物理的移動、知識・情報の移動、媒体の移動の3点において分析し、集大成として、精神・思想の移動としての、中世人の自己認識の形成を明らかにすることを目的としている。 研究二年目にあたる2023年度は、引き続き研究の初歩・土台として、物理的移動を中心に据える予定である。具体的には、これまで研究してきた架空の旅行記『マンデヴィルの旅行記』に加え、実際聖地へ巡礼した人間の書いた巡礼記や、中国へ布教に赴いた宣教師達の記録を分析し、比較したい。それにより、他所へ行く事で自分をどう見つめ、描写するか,旅に何を求めるかを整理し、物理的移動が精神に与える影響を分析する。 また、知識・情報の移動についても、超自然の生物の事典とも言える『怪物の書』を取り上げ、そこにおける記述の在り方を他の百科事典的書物と比較しつつ論じることで、一部取り上げる。媒体の移動については、物理的移動や知識・情報の移動を論じる中で、取り上げた作品と関連した部分については、調べて行く予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)