Project/Area Number |
22K00414
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
森 有礼 中京大学, 国際学部, 教授 (50262829)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | ハリウッド映画 / フォークナー / メイル・ショーヴィニズム / 「納屋を焼く」 / 第二次世界大戦 / 国策映画 / ハリウッド / 冷戦 |
Outline of Research at the Start |
本研究はハリウッド時代のフォークナーに着目し、ハリウッド映画のメイル・ショーヴィニズムに着目しつつ、当時の戦争プロパガンダ映画に対するフォークナーの関わりについて、特に戦後における彼の政治的役割との関連に着目しつつ再検証する。 フォークナー作品におけるメイル・ショーヴィニズムは既に指摘されているが、この傾向は当時のハリウッド映画において称揚された戦争翼賛体制の反映であり、こうした世相を映画脚本や小説に取り込むことで、国民作家としての礎を築いていった。こうした見地から、本研究はハリウッド映画のポリティクスにフォークナーが果たした役割と、またそこから彼が受けた影響とを明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、「ハリウッド時代のフォークナーとメイル・ショーヴィニズム」のテーマに関する周辺研究として、研究発表「報復から法へ―William Faulkner, "Barn Burning"における南部のプア・ホワイト表象の政治学」(日本アメリカ文学会中部支部2023年6月例会)を発表した。 同論文では、ハリウッド時代のフォークナーの創作についての背景研究及び作品研究を実施し、その成果として、ハリウッド映画のメイル・ショーヴィニズムと階級差別の一例として同作品における南部プア・ホワイトの表象を再検討した。本発表によって、ハリウッド時代のフォークナーのイデオロギー的布置を論証し、ハリウッド、延いては合衆国におけるジェンダーバイアスが、戦間期及び第二次世界大戦に亘るハリウッドの国策映画に対するフォークナーのコミットメントと密接に関連していることを確認した。 また前年度末の2023年3月になるが、合衆国ミシシッピ州オクスフォードの国際映画祭Oxford Film Festa 20に招待され、ドキュメンタリー映画"Faulkner: The Past Is Never Dead."のプレミア試写会に参加し、これを視聴した。同映画はフォークナーの足跡を伝記的にたどりつつ、その小説家及び映像作家としての評価を批判的に再検討するものであり、フォークナーが特に1930~1940年代のハリウッドにおいてどのような評価を受けていたかについての新たな知見を得ることができた。併せて、本ドキュメンタリー映画の米国内外における批評的受容を確認することができた。これらから、フォークナー研究の世界的標準が、ノーベル賞作家としての国際的評価から、映像作家・文化使節・映像タレントといった多様な側面を持つ芸術家へと変容しつつあることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目標は、フォークナーがそのハリウッド時代(1932年~1945年)において、いかに米国の国策映画に加担することとなったかを、彼が関係した映画及び 小説作品の分析を通じて、メイル・ショーヴィニズム(熱狂的男性優位主義/愛国主義)という観点から批判的に論証することを目指すものである。そのため、①フォークナーのハリウッド時代の業績の批評的評価を行い、②それらにおけるメイル・ショーヴィニズムのあり方について実証的に検証し、③アメリカ合衆国におけるそのイデオロギー的布置の原因を歴史的に同定することにある。このうち、①については昨年度より継続して研究進行中であるが、②については、独立系映画として発表された再現ドキュメンタリー映画Faulkner: The Past Is Never Dead他、最新の批評的調査によるフォークナーの再評価を確認した。但しそれに基づく③の作業については準備ができておらず、この点で研究計画からかなりの遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は研究計画の最終年となるため、、具体的にフォークナーが手掛けた映画作品、及びハリウッド時代に執筆された小説群を対象として、フォークナーのメイル・ショーヴィニズムがハリウッド産業と文化的・政治的にどのような関係にあったかを文献実証的に検証することを目指す。これによって、フォークナー作品におけるメイル・ショーヴィニズムのあり方について具体的に批判的検証を行うとともに、それとハリウッド文化との関連性について具体的な検証を行う予定である。
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