Literary Imagination for Symbiosis in the Anthropocene: Indigenous and Immigrant Culture and Globalization in the Pacific Islands
Project/Area Number |
22K00427
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小杉 世 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (40324834)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 太平洋島嶼部 / 人新世 / グローバリゼーション / キリバス共和国クリスマス島 / 太平洋核実験の記憶 / 沖縄 / 共生 / ライフ・ナラティブ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、多文化の交錯する折衝地点である太平洋島嶼部において、グローバリゼーションの影響を受ける先住民社会が直面する核や廃棄物、汚染、感染症、気候変動など人新世の環境問題と異なる集団間の軋轢をめぐり、文化の共生の問題を考究し、人間以外の種も含む「他者」の視点から世界を見つめるために文学や芸術が果たす役割を考察する。キリバス共和国クリスマス島の英米核実験をめぐるキリバス民間人の語りから植民地主義のヴァナキュラーな記憶を検証し、環太平洋地域における「帝国」の活動とグローバリゼーションの世界システムがもたらす諸問題を文学と芸術、ライフ・ナラティブなどを主な対象として、超領域的な視点から分析する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、海外調査は行わず、今後の研究の基盤となる文献の収集、資料やデータの整理と分析を中心に行った。環太平洋地域における「帝国」の活動とグローバリゼーションの世界システムがもたらす諸問題を分析するにあたり、共著『終わりの風景』の論文において、ボパールを思わせる架空の化学工場事故の後遺症で「人間」でなくなった少年を描くIndra Sinhaの小説Animal’s Peopleが提示する「帝国」のホモ・サケルの表象を、日本の水俣、太平洋核実験場の被ばく者の存在と関連づけ、グローバル企業の軍事産業への関わりや9.11の表象との関わりにおいて検証した。科研初年度はクリスマス島での米国核実験から60年にあたったが、大阪大学会場+Zoomで開催された日本科学者会議第24回総合学術研究集会においては、モンゴルのウラン鉱山開発が遊牧に及ぼす影響を研究する今岡良子氏と分科会「オセアニア海洋文化とモンゴル遊牧文化からSDGsを考える」を構成し、小杉はオープン・レクチャー「太平洋の核軍事化と先住民共同体―キリバス共和国クリスマス島を中心に―」を学生と総合学術研究集会参加者を対象に行った。冷戦期の英米核実験と現在の気候変動の影響を受けるキリバス共和国にとって重要な土地である環礁クリスマス島(Kiritimati)の現在について論じ、マーシャル諸島の詩人キャシー・ジェトニル=キジナーやハワイの先住民活動家ハウナニ=ケイ・トラスクなどの表象文化における環礁=身体のイメージからも人新世の共生の問題を論じた。『平和学事典』の担当項目「植民地主義と文学の想像力」では、坂手洋二の沖縄を舞台とする戯曲『普天間』「海の沸点」「沖縄ミルクプラントの最后」の原発や基地をめぐる言説とマーシャル文学とのつながりを論じ、太平洋・沖縄・ベトナムをつなぐ想像力について考察した。最終校正を終えたが出版は次年度となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、新型コロナがまだ収束しない状況での科研スタートとなることから、今後の研究集会などをハイブリッド環境で行える設備を整え、研究資料とデータ、新たな文学テクストの分析を中心に進めた。関連テーマでの複数の論文執筆や原稿執筆は進んだが、まだ審査中の原稿や出版社への最終版入稿前のものが多く、次年度の成果発表へとつないでいきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
調査地としている太平洋島嶼部の国のなかには、2020年以降、新型コロナよる徹底した渡航規制があった国が多く、医療インフラが脆弱な地域では、解禁後も状況が不安定である。2年目以降、対面での国際学会発表や現地調査も状況をみながら行い、オンラインやハイブリッドでの研究集会の企画も視野に入れて検討する。 環太平洋地域における「帝国」の活動とグローバリゼーションがもたらす諸問題を太平洋島嶼部の(にルーツをもつ)文学と芸術、ライフ・ナラティブなどを対象に、アジア・太平洋の歴史・政治・文化的文脈において考察していく。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)