Project/Area Number |
22K00452
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
田口 亜紀 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (90600502)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | フランス文学 / 旅文学 / 観光 / ツーリスト / 旅行記 / フランス語 |
Outline of Research at the Start |
観光黎明期の歴史的かつ文化的状況を念頭に置き、1811年から1871年までにフランス語で流通した言説において、「旅」と「観光」の具体例を分析することで、これらの概念の変遷を明らかにし、現代観光文化の諸問題の根源を探る。本研究の目的および学術的独自性と創造性については、以下の4点について検討を行う。最終的にこれらを結びつけて総括する。 ① フランスにおける近代観光の形成に寄与するメディア(出版文化)を精査する ② 「旅」関連の記述を対象とした定量的研究を行う ③ 観光客(ツーリスト)の表象の諸相を提示する ④ 現代観光文化への示唆を行う
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度には、フランス19世紀前半の「観光」の意味が変化していったことについて、研究論文にまとめた(当該研究論文は2024年度中に発表される)。すなわち、「観光客(観光者)」「ツーリスト」の指示内容があいまいなように思われるが、実際には19世紀前半のフランス語で観光客(観光者)touristeは旅行者voyageurとどう異なるのか、という問いを立て、語の使用によって定義が揺れてきたことを文献での使用例を例に引き、跡づけた。イギリスから輸入された語は、やがてフランスで定着していったのであるが、英語からの翻訳語は、スタンダール、ユゴー、ゴーチエ、デュマ、そしてネルヴァルらロマン主義の作家たちの旅の詩学と結びついて変遷を遂げていったのである。 これは、本研究課題である「観光」の諸相を明らかにするために、旅行者とツーリストを分け隔てるものは何であるのかという点について、考察するものであった。特に、19世紀フランスで出版された定期刊行物や書籍の中の、touristeとvoyageurの使い分けに注目し、どの段階で輸入された外来語だった前者がフラン「観光」に関する語を拾い上げて、フランスに定着していったのかを跡づけた。具体的な語彙の使用例から、単語に付与された意味の変遷をたどることができ、ひいてはヨーロッパにおける近代ツーリズムの勃興期の特質を抽出できると考えた。 2023年度に発表した実績としては、旅行記作家の旅の詩学についての記述を含む書籍の刊行が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フランスで資料の調査と収集を目的とした出張を行い、精査すべき資料が集まった。そこで資料の精読と、分類を行い、「観光」へ誘うメディアとしてのガイドブックの役割に関して考察を進めることができた。さらに同コーパスについて、精読を進め、ガイドブックと文学作品の関係性についての論文に発展した。新たにコーパスを加えることができたのがその理由である。これらを足がかりに、2024年度に引き続き研究を続行させることができるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、これまでの研究をまとめた論文の発表が予定されている。そこでは観光に関するフランス語の定義が試みられているが、さらに当時の文学的主題である遊歩者「フラヌール」「フラヌリ」といった視点を導入し、観光における類型を整理し、交通機関の違いによる旅行者の感性の変化についての研究を進めていく。 また、2024年度後半には、フランス国立図書館における文献調査を行う予定である。そして19世紀フランスにおける負の観光について調査を進める。たとえば監獄や病院見学が観光の枠を超えて、人類の救済という大きな思想に結びつく可能性を検討する。
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