Project/Area Number |
22K00462
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹峰 義和 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20551609)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ベンヤミン / 複製技術 / フランクフルト学派 / 翻訳 / 媒質 / メディア |
Outline of Research at the Start |
①複製技術論文の補遺を、初期の絵画論に由来する思想的モティーフを軸に考察することで、ベンヤミンの初期思想と後期思想との連続性と差異を検証する。 ②補遺に見られるフランス人民戦線の芸術論への批判的言及をもとに、複製技術論文が同時代言説への実践的介入を志向していたという事実を、その政治的背景とともに明らかにする。 ③補遺を含めた後期ベンヤミンの著作を特徴づける〈断章の並置〉という構成手法を、「接木」という概念を補助線として理論的に考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、1. ベンヤミンとモスクワの亡命雑誌『インターナツィオナーレ・リテラトゥーア』および『ダス・ヴォルト』との関係の検証、2.ベンヤミンのセルゲイ・トレチヤコフ受容を手掛かりとした複製技術論文における知識人の形象の解明という二つの作業を軸に研究を進めた。1.の結果、ベンヤミンの複製技術論文のうちに、1935年夏のコミンテルン第七回世界大会で公式に採択されることになる「反ファシズム統一戦線・人民戦線路線」にたいする批判的応答と、人民戦線をめぐるソ連・フランスの言説状況への戦略的介入という意図が込められていたことが明らかとなった。また、2.の結果、「生産者としての作者」で論及されたトレチヤコフの「戦略的知識人」の理念が、ベンヤミンの複製技術論文における「オペラトゥール」の形象に引き継がれたことが判明した。くわえて、複製技術論文の草稿に記されたfreischwebendという語が、カール・マンハイムの『イデオロギーとユートピア』にたいする当てこすりであり、ベンヤミンの議論がマンハイムの知識人論を暗に批判しているという仮説を、ベンヤミンのクラカウアー『サラリーマン』への書評や、ブレヒトとともに観光を計画していた雑誌『危機と批判』の特集案などをもとに検証した。以上の研究の具体的な成果として、新潟大学でおこなわれた形象論研究会シンポジウムにて「「戦略的」知識人の使命――ベンヤミン「技術的複製可能性の時代における芸術作品」における言説戦略」と題された口頭発表を行った。くわえて、関連業績として、クラカウアーのカフカ受容を、ベンヤミンのカフカ論を補助線としながら論じた学術論文と、ベンヤミンの歴史哲学について論じた学術論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究課題として掲げたテーマについて、順調に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる2024年度は、本務校の業務のために延期していたドイツでの研究滞在を実施するとともに、これまでの研究成果をまとめる作業に重点を置く。具体的には、8月末から9月初旬にかけてフランクフルトに滞在し、アドルノ文書館で資料調査を行なうとともに、2025年に岩波書店から刊行予定の複製技術論文の完訳への訳者解説の執筆に取り組む。
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