移民作家のフランス象徴主義――マラルメからジャン・モレアスへ――
Project/Area Number |
22K00468
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
立花 史 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (20749551)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | マラルメ / モレアス / ブールジェ / タルド / ビュイソン / 読書 / 古代ローマ / 墓 / ジャン・モレアス / ジャック・デリダ / 古典人文学 / 移民 / 火葬 / ステファヌ・マラルメ / フランス象徴主義 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、モレアスの作品を次の2点から検証する。
①世紀末の排外主義との関係。ギリシャ系移民の象徴派たるゆえに差別にさらされたモレアスが、16世紀のフランス語の豊饒さに立ち返ってフランス文学の再活性化を目指しつつ、そこに伏在するギリシャ・ラテン文学という広大な参照枠によって、文壇内部で移民作家の居場所を確保しようとした一面を調査する。
②1887年に成立した「葬儀の自由」法やモレアスの火葬支持との関係。19世紀のフランスで火葬は活発に議論され、さまざまな政治的・宗教的な文脈を有する。本研究では、モレアスにとっての火葬の意義を考察しながら、マラルメの「墓」詩群とロマーヌ派の「墓」詩群とを比較する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の一環として、2023年度は、前年度に引き続き、若者に読書の対象である象徴主義を退廃の一形態として批判する言説が、その一方でブーランジスム以降の排外主義と結びついた、1890年前後には、象徴主義を、とりわけゲルマン系の外国人の集まりであるがゆえに反フランス的であるとして非難する言説を追いかけている。 その際、そうした保守的さらには反動的な言説が、奇妙なことに、モーラスをブレーンとして、むしろ南欧系のフランス人たちを結束させる形で「ロマーヌ」という概念に訴えてゆく過程をたどると同時に、これによって、モレアスが当初に抱いていた、17世紀の古典主義の規範からはずれた中世からルネサンスまでのフランスの文学的なリソースを、象徴主義の延長線上で再評価しようとする新学派の構想が、このモレアスの影響で、どのようにゆがめられ、簒奪されていったかを再調査している。 ここまでの研究の道筋は、Robert Jouannyの古典的研究にくわえ、Olivier Bivortのモレアス研究に負うところが大きいが、それを元にして、本研究では、世紀末の有名作家のインタビューとして以外あまり参照されないジュール・ユレのインタビュー集のなかから、排外主義のくすぶる暗部を再確認し、世紀末の政治的分断を浮き彫りにしつつ、それがどのような形で古代ローマに結び付けられているかを分析している。その際、Patrick McGuinnessの創意に富んだ著書も参照している。McGuinnessのアイディアを堅実な研究に落とし込むために、本研究では、ロマーヌ派のローマの表象に、退廃読書批判と有害な男性性がどう結びついているかを併せて見てゆくことで、McGuinnessの着想を、さらに細かく19世紀末のフランス社会の諸相に紐づける作業をおこなっている。その成果の一部を、福島祥行教授の主催する研究会で年度末に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
別の科研費研究の一環でシカゴ大学で発表した研究成果を査読論文として提出したところ、査読者からたいへんていねいな質問や指摘を受けたため、それに答える形で研究をしながらのやりとりをおこなったところ、年度後半は、その作業に多くの時間を取られたので、進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
成果としてまとめるという点では、やや遅れているが、昨年度から、すでに、モレアスの詩の分析はかなり進めているので、2024年度以降は、その成果を積極的に形にしてゆくことで、遅れはかぎりなく軽減できると考えている。また、「「現代の起点」としてのフランス象徴主義の総合的研究」の研究代表者である森本淳生氏から、世紀末の作家を相当程度網羅した『読む辞典』におけるジャン・モレアスの項目の執筆を依頼されており、2024年度は、それを視野に、日本での情報発信に向けて成果を形にする予定でもある。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)