グイ語における非対称的等位接続:談話構造の特異性と文法の特異性
Project/Area Number |
22K00536
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
大野 仁美 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (70245273)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 談話文法 / コイサン / 談話 |
Outline of Research at the Start |
カラハリ狩猟採集民グイが特異な会話・談話の構造を有することと、特異な文法現象を有することは、これまで別々の文脈で指摘され説明されてきたが、両者の有機的な関係が問われたことはなかった。本研究は、グイ語における節連結の基本の型が非対称的な等位接続であるという、これまで重視されてこなかった事実に注目して、これが最大談話全体に及ぶことを示し、談話・会話構造における特殊現象と言語構造における特殊現象とがこの型を土台にどのように相互に関連しあっているかを、文法的に精度の高いコーパスを用いた分析によって明らかにしようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グイ語における節連結の基本の型が非対称的な等位接続であるという、これまで重視されてこなかった事実に注目して、これが最大談話全体に及ぶことを示し、談話・会話構造における特殊現象と言語構造における特殊現象とがこの型を土台にどのように相互に関連しあっているかを、文法的に精度の高いコーパスを用いた分析によって明らかにしようとするものである。 初年度は、この研究で資料として利用する(1)グイ語コーパスの作成・整備と、(2)新規データの収集を進めた。(1)については、これまでに収集した録音資料から、5分から8分程度の短めの物語・pear story・インタビュー、15分から20分程度の話し手一人による民話という様々なジャンルの談話資料をELANを用い電子化した。(2)については、都内在住のグイ・ガナ両言語の母語話者の協力を得ることができ、写真を見てそれを説明するという課題を通して両言語の節連続のデータを収集した。これらを通して、グイ語に見られる非対称等位接続と相対時制が、もっとも系統の近い言語の1つであるガナ語では見られないことが明らかになった。この事実が、総合的にどのように両言語の談話構造の違いとして現れるのか(あるいは現れないのか)をコーパス資料を通して見ていくのが来年度以降の課題となる。次に、これらの資料を利用して、文法項目として(1)節タイプと連結方法、および(2)節内部の動詞周辺現象を観察した。(1)については、近隣のツワナ語からの借用語xoreが、補文構造をほとんど持たないグイ語において、かなり強力な補文標識として一部の話者に利用されていることがほぼ確定できた。(2)については、動詞タイプとイベントおよび移動をどのようにコード化しているかについて量的に研究を進めるため、マーキングの必要な項目をリストアップしタグ付けを一部開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査は実施できなかったが、コーパスの整備および新規のデータ収集が着実に実施できており、分析も進んでいるので、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
海外調査がいつ、どれくらいの規模で実施可能かはまだ未知数だが、現時点では当初の計画通り研究を進める予定である。一方で、ガナ語の調査は新規研究課題として追加し、グイ語とガナ語の比較対照を分析の際に常に考慮に入れることにする。ガナ語はグイ語に比べさらに未記述の分野の多い言語であり、調査ができる機会も限られていることから、ガナ語の文法構造の解明も同時に行いながら研究を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Towards a phonological typology of the Kalahari Basin Area languages.2023
Author(s)
Nakagawa, Hirosi, Alena Witzlack-Makarevich, Daniel Auer, Anne-Maria Fehn, Linda Gerlach Ammann, Tom Gueldemann, Sylvanus Job, Florian Lionnet, Christfried Naumann, Hitomi Ono, Lee J. Pratchett
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Journal Title
Linguistic Typology
Volume: -
Issue: 2
Pages: 509-535
DOI
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Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] How universal is complementation? And does corpus type influence our answer?2023
Author(s)
Nicholas Evans, Wayan Arka, Danielle Barth, Henrik Bergqvist, Christian Doehler, Sonja Gipper, Dolgor Guntsetseg, Yukinori Kimoto, Dominique Knuchel, Hitomi Ono, Eka Pratiwi, Saskia van Putten, Alan Rumsey, Andrea Schalley, Stefan Schnell, Asako Shiohara, Elena Skribnik, Yanti
Organizer
Naturally occurring data in and beyond linguistic typology.
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[Presentation] Typological features of Consonants in Khoisan languages of the Kalahari Basin Area.2022
Author(s)
Lee Pratchett, Alena Witzlack-Makarevich, Linda Ammann, Daniel Auer, Anne-Maria Fehn, Tom Gueldemann, Sylvanus Job, Florian Lionnet, Christfried Naumann, Hitomi Ono, Hirosi Nakagawa.
Organizer
Francqui International Professorship Symposium: The Diversity and Documentation of Speech Sounds in Languages of the World.
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