Project/Area Number |
22K00586
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
李 澤熊 名古屋大学, 国際機構, 准教授 (50362207)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | 形容詞派生動詞 / 認知言語学 / 多義語 / 概念メタファー / 百科事典的意味 / スキーマティック・ネットワークモデル / 言語の透明性 / 多義構造 / 一時的な特性 / 恒常的な特性 / 多義語分析 / 類義語分析 / 自他対応関係 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、「広い→広まる:広める」のような形容詞から派生した一群の動詞24語(12ペア)を取り上げ、関連語との類似点・相違点を指摘しながら、全体の意味体系を明らかにし、さらにこれを手掛かりに、自他対応(交替)動詞に関する研究を深化・発展させる。 また、言語は認知主体である人間の認知能力を反映したものであると考える認知言語学の考え方に基づき、「意味の伝達」ということばの最も重要な働きに注目し、特に現代日本語の意味の解明に焦点を当てて分析を行うことによって、統語論や音韻論などに比べて、遅れをとっている現代日本語の意味研究に新たな進展を与える。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究実績(1):学会発表 本研究は韓国語のkuthidaと日本語の「固める」を取り上げ、従来の意味記述ではあまり注目されていなかった「コンクリートを固める」から「考えを固める」という具体的概念から抽象的概念への意味拡張の仕組みについて、認知言語学の観点を視野に入れ、詳細に検討し、韓国語及び日本語教育への効果的な応用の可能性を探ったものである。 考察の結果、2語の意味拡張には概念メタファーと百科事典的意味が深く関わっていることを明らかにした。また、2語の意味用法の様相を検討した結果、「固める」はkuthidaに比べて、より意味拡張が進んでいることを示し、言語の「透明性」という観点からその要因を探った。 研究実績(2):研究論文 本研究は形容詞派生動詞「弱まる」と「弱める」が持つ複数の意味(3つの語義)を記述した上で、Langacker (1987など) が提案している「スキーマティック・ネットワークモデル」を援用し、2語の多義構造を明らかにした。また、「一時的な特性」と「恒常的な特性」を参考にして、形容詞「弱い」との対応関係についても詳細に検討した。2語が持つ3つの語義すべてにおいて、形容詞「弱い」と対応関係にあるが、語義3-3【性向】については「?需要が弱い」「?活動が弱い」のように、「弱い」とは共起しにくい語もある。これは需要や活動のような語は時間の流れに沿って変化していく側面に焦点が置かれるため、形容詞の一般的な特徴である「非時間的関係」を問題にすることが難しいと考えられるからである 。一方、「弱い」には「将棋・数学が弱い」のように【不得手な技量・能力】を表す意味と、「熱・水害・摩擦に弱い」のように【物事に対する軟弱な対抗力(耐久力)】を表す意味が認められるが、これらの意味は「恒常的な特性」として位置付けられるため、派生動詞「弱まる」と「弱める」には表われないと考えられる 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね予定通り、形容詞派生動詞の意味分析と関連語との比較・分析を行い、一部の研究成果については学会などで発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間の成果に基づき、最終年度は、考察対象とする語の拡張義(多義的別義)における自他対応関係の様相について、体系的に記述・分析する。 (1) a. 両国の結びつきが強い(強まる)(強める)。b. この高校はサッカーが強い(*強まる)(*強める)。 (2) a. パソコンが固まる(*固い)(*固める)。b. 本塁打を固めて打つ(*固い)(*固まる)。 例えば、例(1ab)のような形容詞との対応(交替)関係については、Levin & Rappaport Hovav(1995)が指摘する一時的な特性(stage-level property)などを参考にし、その要因を明らかにする。また、例(2ab)のように、自他の交替ができないだけでなく、形容詞の意味用法を持たないケースについても詳しく検討する。
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