近世の滑稽本・談義本に見られるオノマトペの記述的研究
Project/Area Number |
22K00589
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中里 理子 佐賀大学, 教育学部, 教授 (90313577)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | オノマトペ / 東海道中膝栗毛 / 浮世風呂 / 浮世床 / 四十八癖 / 表情音 / 笑い声 / 人物描写 / 近世 / 滑稽本 / 談義本 |
Outline of Research at the Start |
近世のオノマトペの使用状況を探るために、前回の科研で行った浄瑠璃・歌舞伎脚本のオノマトペ調査に引き続いて、滑稽本・談義本のオノマトペを調査し、特徴をまとめる。会話に現れるオノマトペと、会話以外の部分に使われるオノマトペとに分け、口語的なオノマトペと文章語的なオノマトペの両面を整理し、江戸後期の一般的なオノマトペを広く把握する。また、和語だけでなく漢語系のオノマトペも取り上げ、日常語に見られる漢語のオノマトペについても考察する。滑稽本・談義本のオノマトペを整理し、江戸から明治につながる日本語の具体像を知る一資料とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度の計画通り、滑稽4作品についてオノマトペの調査を行い、データを作成した。さらに、オノマトペの特徴を整理して3本の論文にまとめることができた。まず、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』のオノマトペについて、地の文・ト書き・セリフに分けて整理した。地の文には旅の雰囲気を表す擬音語が多いこと、ト書きには人物描写に関わる擬音語・擬態語が見られること、セリフには笑い声や唾・嘔吐の擬音語や皮膚感覚を表す擬態語が多いことが特徴である。式亭三馬の滑稽本は『浮世風呂』『浮世床』『四十八癖』の3作品からオノマトペを抽出し、作品ごとにオノマトペの特徴をまとめた。『浮世風呂』では銭湯らしい擬音語が多く、様々な人物の外見が擬態語で描写されていること、『浮世床』『四十八癖』ではセリフ部分のオノマトペが多く、人物描写の擬態語の特徴が『浮世風呂』とは異なるなど作品ごとの特徴が見られた。これらに共通して、人物の笑い声が豊富に見られること、ゲップや嘔吐などの汚い音や表情音が多いこと、三味線などの口真似が多いこと、人物描写に多用される擬態語にある種の傾向があること、オノマトペの意味が薄れて勢いの良さを表すようになった擬態語が多いこと等の傾向が見られた。以上の研究成果は、「『東海道中膝栗毛』のオノマトペ」、「式亭三馬『浮世風呂』に見られるオノマトペの特徴」、「式亭三馬『浮世床』『四十八癖』に見られるオノマトペ―『浮世風呂』との比較を交えて―」という3つの論文に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた作品(十返舎一九『東海道中膝栗毛』と式亭三馬の『浮世風呂』など4作品)のオノマトペ調査をすることができた。また、4つの作品から抽出したオノマトペを整理し、各作品の特徴を見出し、それらを論文にまとめて成果を発表することができた。滑稽本4作品のオノマトペを調査したことにより、4作品に共通する特徴が見えてきた。本研究の目的である滑稽本のオノマトペの特徴の傾向をつかむことができたため、これらと比較しながら、次年度以降の滑稽本の調査に取り組むことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の調査・考察から、調査した滑稽本に共通する特徴として、擬音語・擬態語それぞれに傾向が見られた。擬音語については、人物の笑い声が豊富に見られること、ゲップや嘔吐、唾棄などの汚い音や表情音が多いこと、三味線などの口真似が多いことが挙げられる。擬態語については人物描写に多用されるオノマトペにある種の傾向があること、オノマトペの意味が薄れて勢いの良さを表すようになったオノマトペが多いことが挙げられる。ただし、作品によって異なる特徴も見られた。擬音語では周囲の状況を示すオノマトペがあること、擬態語では人物描写のされ方のポイントが異なることが認められ、滑稽本としての全体的な特徴と作品ごとの特徴があることがわかってきた。初年度の考察をもとに、2年度は初年度とは別の作者(滝亭鯉丈、梅亭金鵞)の滑稽本を調査して、各作品の特徴を見出し、さらに、それらの特徴を比較することで、滑稽本全体に通じる特徴を明らかにしていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)