Project/Area Number |
22K00591
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
勝又 隆 学習院大学, 文学部, 教授 (60587640)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 名詞述語文 / 連体修飾 / 係り結び / ゾ / 主名詞 / ソ / 名詞性 / 名詞性述語文 / モノナリ文 / 形式名詞 / 連体形 / 名詞性述語 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、古代日本語において述部に連体形が含まれるなどして名詞と共通する特徴を持つ文(名詞性述語文)について、それぞれの構文が互いにどのように影響し合い、上代から中古、中世にかけて変遷したのかを記述・考察し、「述語」や「構文」の変化が起こる原理の一端に迫ることを目的とする。その過程で、構文的特徴や文意味・文機能等の観点から分析し、古代語の文終止体系におけるこれらの構文の位置づけを明らかにする。 また、名詞性という基準によって各構文の変化を質的に捉えることにより、「述語」や「構文」の変化が起こる原理の一端を明らかにすることに貢献することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に以下の二つに取り組んだ。(1)論文「『万葉集』における「連体形+名詞+ソ」文とソによる係り結び文の主題と表現性について」(『福岡教育大学国語科研究論集』2024年2月)の執筆及びそれを踏まえた「連体形+名詞+ソ(ゾ)」文の史的変遷に関する調査と考察。(2)口頭発表「中古散文における「連体形+名詞+ゾ/ナリ」文の特徴について」(第230回青葉ことばの会(学習院大学/オンライン同時配信、2024年3月23日))の実施及び、それを踏まえたモノゾ文とモノナリ文の各種構文が成立する経緯に関する考察。 (1)の論文では、『万葉集』を調査対象として、ソによる係り結び文と「連体形+名詞+ソ」文の主題、つまり、その文が「何を説明している文なのか」に着目し、ソによる係り結び文はその事柄が「どういう事態なのか」を説明する構文であり、「連体形+名詞+ソ」文はその物(者)が「どういう物なのか」について説明する構文であると主張した。それを踏まえて、史的変遷についても考察するために、中古の「連体形+名詞+ゾ」による調査を進めた。その成果の一部は(2)に反映されている。 (2)の口頭発表では、平安時代における「連体形+名詞+ゾ/ナリ」文の述語名詞に前接する助辞(助動詞)が、ゾ・ナリと名詞の組み合わせによって分布の違いが観察される現象の存在を指摘し、特に、ベキコトゾ・ベキコトナリ・ベキモノナリ、ムモノゾという形式に注目した。このうち、ムモノゾ以外は推量と当為の二つの用法が見られたが、ムモノゾは推量用法のみが見られ、ム単独であれば存在する意志や勧誘の用法は確認できなかった。その理由について、ムの意志や勧誘の用法の人称が限定されることが、ムモノゾが推量に限定される要因であると主張した。また、奈良時代のムモノゾには意志用法が見られることも指摘し、通時的な考察の必要性も指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、古代日本語における名詞性述語文に関する通時的な研究である。本年度は上代(奈良時代)に関しては、「連体形+名詞+ソ」文と、ソによる係り結び文の違いについて調査・考察を行い、一定の成果が得られた。中古(平安時代)についても同様の構文が見られるため、どのような変化があるのか(あるいは無いのか)を調査・考察するための基準が得られたと言える。また、中古に関しては、「連体形+名詞+ゾ」文と「連体形+名詞+ナリ」文の共通点と相違点を調べるために、名詞に前接する要素の分布について調査し、名詞とゾ・ナリそれぞれの組み合わせによる分布の違いが見られることを指摘した。この点に関しては、それ自体が興味深い現象であり、今後、さらにさまざまな観点からこの分布自体を分析したり、ある組み合わせが見られる/見られないという違いが生じる理由について、構文的な理由なのか、構成要素それぞれの持つ意味の組み合わせから説明がつく現象なのか、そしてそれは通時的な変化が関わるのか、といった点について調査と考察を進めていく足がかりができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)中古(平安時代)における「連体形+名詞+ゾ」文とゾによる係り結び文の共通点と相違点について調査・考察を行う。 (2)「連体形+名詞+ゾ・ナリ」文の名詞に前接する要素の分析に、ある前接要素にはどのような名詞が現れるか、という観点も加え、また文体差に関しても調査を行う。 (3)「連体形+名詞+カナ」のような、平叙文ではなく「喚体」と説明される文についても通時的な考察を行い、ゾやナリによる平叙文とされる名詞述語文との共通点と相違点について考察する。 (4)中古における準体句が係助詞ゾ・コソに前接する係り結び文について、その表現性や発話意図、主題などの観点から共通点と相違点について明らかにし、上代のソ・コソによる係り結び構文との違いについて考察する。
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