Project/Area Number |
22K00749
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
大和 隆介 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (60298370)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 日本人英語学習者 / L2動機づけ自己システム / キャリア形成 / ワーキングホリデー / ナラティブ分析 / 英語学習者 / 成長過程 / 統合的コミュニケーション能力 / 動機づけ / 学習ストラテジー |
Outline of Research at the Start |
多くの若者にとって,学習者として過ごす大学生活から職業人として過ごす長い人生への移行は大きな困難を伴う。近年,学校教育ではこうした「学生」から「職業人」への移行を円滑なものとなるような指導が求められており,外国語教育もその例外ではない。本研究は,社会構成主義アプローチ(e.g., Kramsch, 2002,2008)に準拠したナラティブ分析の手法を用いて,英語学習者が将来のキャリアを意識した自律した英語学習者へと成長していく過程を分析する。合わせて,英語学習の中で,学習者が主体的にキャリア形成に取り組む姿勢や自律的学習能力を習得することを可能にする言語指導の在り方についても検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は,昨年度実施した質問紙調査を分析するとともに,少人数の学習者を対象として特殊な英語学習における多様な経験が彼らの英語学習者としての成長過程にどのような影響を与えたかをナラティブ分析を用いて分析した。その結果は,国内と海外での学会に発表すると同時に国際誌に投稿し,現在,その査読結果を待つ状況である。以下は、その論文要旨(和訳)である。 「本研究は、L2 Motivational Self System (L2MSS)とGrounded Theory Approach (GTA)を理論的枠組みとして、ワーキングホリデー(WH)経験が日本人英語学習者のモチベーションと英語力向上に及ぼす影響について検証した。具体的には、カナダで1年間WHに従事した3名の参加者を対象に質問紙調査と半構造化インタビューによって質的データを収集した。更に、才木(2013)及びCharmaz(2006)が提唱するGTAの手続きに準拠して、綿密な分析を繰り返し行った結果、参加者の 「義務的 L2 自己」の形成には強迫観念やコミュニケーションの失敗が大きく影響するのに対して、「理想L2自己」の形成には肯定的な交流やメタ認知的自省が大きく寄与している可能性が示された。本研究により得られた重要な知見は、①WHを経験する中で、参加者は「現在の自分」と「将来なりたい自分」とのギャップを埋めたいという願望に突き動かされ、英語学習における「義務的L2自己」が「理想的L2自己」へとシフトしたこと;②「賃金を得ることに伴う責任」「他者との重層的な関わり」「実用的な言語使用」等の通常の教室における学習では得難い要素が、そのシフトに大きな影響を与えることである。本研究は、事例研究であるため得られた知見の一般化は慎重に行う必要があるが、上記の知見は従来の教室での英語教育の質改善に有益な示唆を与えるものと評価される。」
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は,社会構成主義アプローチ(e.g., Kramsch, 2002,2008)に準拠したナラティブ分析の手法を用いて、英語学習者が将来のキャリアを意識した自律した英語学習者へと成長していく過程を分析し,合わせて、英語学習の中で、学習者が主体的にキャリア形成に取り組む姿勢や自律的学習能力を習得することを可能にする言語指導の在り方についても検討してきた。 令和5年度は,人文・社会・自然系学部の学生を対象として、彼らのこれまでの学習経験と将来のキャリア形成についての認識や物語を多面的に分析する予定であった。しかし,該当の学生から、将来のキャリア形成に関するナラティブ・データを収集することはできたが,その他の属性や学力に関する情報が授業の進行状況や個人情報保護の観点から十分に収集することができなかった。そのため,質的データと量的データの関係性について有意義な検討を行うことができなかった。とは言え,昨年度,得ることができなかったデータを令和6年度においてある程度収集できる目途もついたことから,当初の目的を達成すべく最終年度の研究を推進する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度においては,過年度の研究成果を教育面に応用する方法論とその効果を検証することを目指す。具体的には,少人数の専門科目(外国語学部研究演習)において,春学期に自らの学習活動を認知・メタ認知・情意面から多面的に分析する活動を取り入れ学習活動を行なう。但し,英語専攻の学生が受講しているため,ナラティブの作成および分析は可能な限り英語で実施する。さらに,秋学期においては,春学期に実施したナラティブ分析をさらに詳細に分析するために,複線経路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model: 安田&佐藤,2015)の手法を用いて,学習者が自らの成長の軌跡を可視化し,これらの学習活動の教育効果を検証する。 加えて,こうした活動の妥当性を検討する材料として,令和5年度において十分なデータ分析を行うことが出来なかった社会系学部および人文系学生を対象として,「専門分野の学習を活かした10年後の職業人としての姿」を題目としたエッセイのテキスト分析を行い,その結果と英語力や他の基礎学力に関するデータとの関係性を分析する。
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