Project/Area Number |
22K00774
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
石原 紀子 法政大学, 経営学部, 教授 (90523126)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | 教員養成 / 語用論的指導 / 教員のプロフェッショナル・デベロップメント / 多文化理解 / 言語とアイデンティティー / 教員アイデンティティー / 多言語アイデンティティー / プラグマティックス指導 / トランスランゲージング |
Outline of Research at the Start |
本研究では国際語としての英語の多様性や多文化理解を採り入れた語用論的指導を発展させ、語学教員にその指導指針や指導・評価案を示す。そのような語用論的指導を奨励することによって教員の語用論的意識・指導・評価、多文化理解の拡充を図り、語学教育の現場への応用を詳細に検証する。本教師教育研究は、多文化共生や他者の寛容的受容を念頭に、グローバル社会において多様性や対人関係をわきまえた外国語コミュニケーションができる学習者やそれを指導できる教員の養成を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自然な言語をもとにした語用論的データを用いつつ、多文化理解や他者への寛容を培う複言語主義や多文化間コミュニケーションの理念を採り入れ、語用論的ことばの使い方に焦点をあてた教員養成講座や研修を行うことを目的としている。 2023年度には、語学教員を対象にした2講座を6か月(神田外語大学)および3週間(ミネソタ大学)にわたって行い、また単発の研修を学習院大学および名古屋外国語大学などで開講し、語用論的指導についての認知度を高め、現役の語学教員や大学院生の語用論的意識の向上を図る活動を行った。 また、国際語としての英語の語用論指導について探求するにあたり、国際民間航空機関(ICAO)の特殊な規範のもとに世界の航空業界で使われている航空英語を例にとり、グローバル化した航空業界で、さまざまな文化背景を持つ航空操縦士や管制官が、特に非常事態において無線交信でどのように意味を交渉し相互理解に至っているのかという点を、オーストラリアや中国の研究者と共に検証した。航空業界の例ではあるが、グローバル社会での多文化間の意思疎通において有効な歩み寄りの語用論的方略などに関する示唆に富む研究である。 さらに、語用論的指導に携わる教員の多文化アイデンティティーや語学指導や語用論的指導との関連について、またその関連をより密に連携することで得られる指導上の利点についても、多言語主義やトランスランゲージングの観点から検証した。加えて、アメリカの研究者と協働で、多様化した多文化アイデンティーティーを語学教育にいかに有効に活用できるかという観点も研究し、教員のプロフェッショナル・ディベロップメントに活用できる理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は学部の執行部の業務を担っていたため、3月まで学会発表や研究打合せのための海外出張をすることができなかったが、オンラインにて行われたアメリカの大学の講座や日本の教職大学院での授業を通して、また国内の二校の大学に招待されて行った教員の語用論的指導に関する講演活動によって、語用論的指導の普及に努めた。 また2022年度にアメリカの語学教育における語用論学会(PLL)にて行ったオンライン基調講演の影響で、スペインの語用論的指導の研究者数名から寄稿の依頼を受け、語用論的指導に関する教師教育を特集した国際査読ジャーナルの特別号に論文を寄せることとなった。その論文では、語用論的指導と教員アイデンティティーとの関りについて、応用言語学一般で展開されている多文化主義やトランスランゲージの理論を応用して論じた(現段階では査読中)。語用論の分野では、多文化主義の枠組みは比較的新しい議論であるので、語用論的ことばの使い方と(教員)アイデンティティーを検証するうえでインパクトがあると思われる。 また国際語の語用論的指導を発展させる上で大きなヒントとなる航空英語の語用論の研究では、オーストラリアと中国の研究者と共同研究した論文がシャワ大学のジャーナルに出版され、さらに香港で編集されている書籍の一章として発表予定である(近刊)。この内容は、アメリカ応用言語学会でも共同で発表を行い、オーディエンスから有益なフィードバックを得た。 全体的には、海外の学会出張は一回にとどまったが、オンラインやメールでの海外の研究者との交流により国際的に研究を進め発表することができ、進捗状況はほぼ計画通りと言えるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
語学教員を対象とした語用論的指導は今後も、ミネソタ大学CARLA (Center for Advanced Research on Language Acquisition) および神田外語大学大学院、そして学会発表や教員向けの研修や大学生・大学院生対象のセミナーなど、様々な形態で国内外で行い、語用論的指導についてさらに研究活動で得られた知見を還元しながら、語用論指導の重要性や有効性を訴えていく。そして現場の語学教員からも協力を得て深い省察を奨励し、授業や講演にて得られたフィードバックを、教員にとって持続可能な指導方法やプロフェッショナル・ディベロップメントに応用していく予定である。 特に多言語主義やトランスランゲージングの見地に立った語用論指導の重要性に関する研究を今後とも掘り下げていきたい。このような理論的フレームワークを用いた語用論的指導に関する研究は、教員アイデンティティーとの関りの検証と相まって、より広い応用言語学の領域のアイデンティティー理論や多文化主義の研究と関連づける展開となっている。この方向性を発展させ、多文化市民性教育を採り入れた語学教育全般を視野におきつつ、語用論的な視点を強調する研究へ広げていきたい。2024年度秋学期はサバティカルを取得しているため、自らにとっては新領域である多文化市民性教育の枠組みを開拓し、理論的論文やケース・スタディーにまとめたい。 国際語としての英語の語用論の研究は、航空英語に関してドイツ・オーストラリア・ブラジル・中国などの研究者と協働して2024年8月の国際応用言語学会でのシンポジウムに参加する予定であり、多様な考え方や視点を学んで、研究を発展させていきたい。
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