Project/Area Number |
22K00778
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
|
Research Institution | Aichi University of Technology |
Principal Investigator |
森 明智 愛知工科大学, 工学部, 准教授 (10878408)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
|
Keywords | リーディングストラテジー指導(EFL環境下) / リーディングにおける困難さ / 対話による困難さの解決 / リーディングストラテジーと英語リーディング力 / Languaging:(言語化) |
Outline of Research at the Start |
英語の文章を読む能力は今後も間違いなく必要とされる能力になるが、英語の文章に読めない部分がある時(知らない単語や構文、知らない話題など)、日本語と異なり、色々な事を意識して読む必要がある。この意識して読む、という部分はリーディングストラテジー(ストラテジー = 学習の方略と理解してもらいたい)を呼ばれるが、この研究は、英語の文章に対して読み手が感じる疑問点や難しい点を言語化し、周りの仲間や教員と話し合いながら解決する指導法を取り入れ、その指導法が読み手のリーディングストラテジーに与える効果と英語の文章を読む力の成長に与える効果を分析し、得られた結果を日本の英語教育に還元する事を目標としている。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、当初の目的に準じて、日本の私立大学における理工系学科に所属する日本人英語学習者を対象に、専門的な内容を含む説明文による英語リーディング学習を行った。その中でも特に、読み手が直面する困難さや疑問点に対して自分自身で取り組み、後に仲間および教員を含む話し合いによって解決する指導を実施し、英語リーディング力に与える効果について分析を行っている。 言語化により困難さの解決を行う指導法は、海外での外国語によるリーディング研究では報告が見られる一方で、国内の日本人英語学習者を対象として実践された例が見られないが、理工系の学部では、ある程度の難易度である専門性の高い英文を読める事は、将来に向けて必要な内容であり、このような指導法の効果を分析することは我が国の英語教育に対して一定の意義があると言える。 令和4年度9月から1月にかけて国内の私立大学にて、日本人英語学習者12名を対象に、上記の指導法を週1回実施し、読解の難しさ(「知らない単語」、「文の文法構造」、「文間の関係」、「背景知識の欠如」)の分類と、解決策(「仲間との話し合い」、「教員との話し合い」、「個人の戦略的読解」)の分類を、10 週間にわたって記録した。 結果、英語の読解テストは 指導前後で大幅に改善した。 重回帰分析により、因果関係を分析したところ、指導後の読解テストは、「仲間との議論」と「教師との議論」の解決策によって十分な有意差を伴って予測される結果となった (調整済み R2乗 = 0.77)。また、相関分析の結果から、(1)「知らない単語」は「個人の戦略的な読解」(r = 0.79、p = 0.00)と有意な相関があり、(2)「文の文法構造」、(3)「文章間の関係性」および(4)「背景知識の不足」は、「教師との議論」と有意、または、ほぼ有意な相関を示した(r=0.55~0.72、p=0.01~0.05)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、本研究が研究助成をいただいて後の2年目となった。令和4年度における質問紙を用いた分析は、学術誌への論文掲載に至ったが、あくまでも質問紙形式の分析手法であり、具体的な話し合いに対する分析が示されておらず、この点についてさらに分析を行うべきではないか、との指摘をいただいた。よって、令和5年度の研究では、英語リーディングにおける困難さと解決策を、選択肢形式で学習者に提示し、分類させる手法を用いて分析を行った。データの分析結果が興味深い結果を示し(上記参照)、大学英語教育学会(国際大会)にて発表を行い、活発な質疑応答の場を持つことができた。 ただ、これまで、日本国内で類似の研究が見られない事から、本研究の位置づけや必要性を明確ににする必要についてご指摘をいただいた。この点に対して、外国語リーディングに限定せず、視野を広げて先行研究を確認したところ、本研究と同じ外国語学習の研究分野にて、外国語学習に取り組む学習者自身が、自分の困難さや疑問点を言語化する事により、個人による自己説明にて解決する指導法や、仲間や教員と話しあう事により解決する指導法があり、いずれの場合も英語運用能力に対してプラスの影響を報告する一連の研究がある事が判明した(これらの概念はLanguaging(言語化)として定義されている)。現在、この概念を応用しつつ、本研究の位置づけや必要性について視点を明確化している状況である。 現在、実際の話し合いの様子を録音し、質的研究として分析した結果が、令和6年度8月における大学英語教育学会第63回国際大会にて発表の認可をいただいた(EFLリーディングにおける問題解決の話し合いに対する質的データ分析)。 これらの結果を含め、量的・質的双方のデータ分析の観点から研究が発展していると言える。上記の内容を総合的に鑑み、現時点ではおおむね順調に進展している、と判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の研究の推進方策として、研究成果として既に言及した点であるが、質問紙調査だけでなく自己省察における選択肢を用いて学習者に困難さを分類させたデータの分析結果について、令和5年度の大学英語教育学会国際大会(第62回)にて研究発表を行った。その上で、本研究の内容について、位置づけ必要性を明確かすべきとの指摘がなされ、先述したように、外国学習におけるLanguaging (言語化)の観点から再度意義付けを行い、令和6年度における査読付き論文として投稿し、日本の英語教育に成果を還元する事を考慮している。 また、本研究に対する専門家からの指摘として、量的研究だけでなく、それらの量的データからは見えない質的データを分析するように助言を受けている。よって、令和5年度、9月~1月において、日本国内の大学にて、日本人英語学習者を対象とした専門的な英語リーディングの授業内において、本研究が対象とする指導を実践し、研究協力者達による話し合いの様子を録音し、分析を進めている最中である。結果については、先述した点であるが、令和6年度、大学生教育学会国際大会(第63回)にて発表の認可をいただている。そこでの発表結果をふまえつつ、内容については、これも令和6年度における論文投稿を予定している。 専門的な内容を含む英語リーディング学習を日本人大学生を対象に行い、特に学習者が直面する困難さや疑問点を言語化する事によって解決する指導デザインを実施する本研究において、令和4年度からの研究課題であった、具体的な言語化の様相に対する質的なデータ分析が令和5年度において進展した。今後、量的、質的、双方の観点から研究を進める予定である。 さらに、同年度において指摘された本研究の位置づけや必要性について、言語化の概念を用いて再確認を行っており、その点についても、今後の研究を進めていく予定である。
|