先秦時代における政治思想の形成と展開-清華簡墓主個人の精神的内面の視角から-
Project/Area Number |
22K00908
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小寺 敦 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (30431828)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 清華簡 / 郭店楚簡 / 邦家処位 / 邦家之政 / 窮達以時 / 先秦時代 / 政治思想 / 楚 / 治邦之道 / 摂命 / 先秦 / 楚地域 / 出土資料 |
Outline of Research at the Start |
本研究は清華簡という同一墓葬から出土したことが確実である政治思想関連文献を主たる資料とし、伝世文献と合わせてこれら出土文献相互を緻密に比較・検討することにより、伝世文献から独立してその内容を把握する。その把握に依拠した上でその思想的用語に着眼しつつ、清華簡が副葬された墓主の政治思想を復元し、当時の楚地域における特定個人の政治的な思想体系を理解する。この理解を元に先秦時代楚地域における政治思想の具体相を明確にできる。楚地域は中原など周辺地域と密接な交流があるから、ここで得られた成果を当該地域史のみならず、中国史における歴史的特質を解明する手掛かりとし、歴史学の新たな地平を切り開くことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年目として、引き続き清華簡第8冊所収の出土文献の釈文作成を進め、本年度の研究の基礎とした。その成果として「清華簡『天下之道』訳注」「清華簡『虞夏殷周之治』訳注」を所属機関の紀要に発表した。これに加えて関連文献のテキスト型データベースを作成した。本年度から中国の渡航航規制が緩和されたことにより、中国のいくつかの研究機関より招聘を受けた。しかし事情によりいずれも現地に赴くことができなかったが、8月には鄭州大学等が開催したシンポジウムに「関於清華簡《邦家処位》的政治理論」を提出した。清華簡『邦家処位』は一種の政治論を展開する。「度」は被統治者にその存在を感知されずに作用して上下の身分秩序を維持し、「貢」は「度」を基盤としつつ、被統治者に認識され、人事の基準となる。「美」「悪」は、いわば自然状態では併存するが、「度」「貢」によって調整され、正される。本篇は墨家的・儒家的要素を含む一方、道法折衷的で、秦漢期の黄老思想にも繋がる思想的気風を含んでおり、成立年代は戦国時代のさほど早くない時代の可能性があるとした。10月には清華大学出土文献研究与保護中心および清華大学哲学系のシンポジウムにオンラインで参加し、「関於清華簡《邦家之政》的政治思想」「関於郭店楚簡《窮達以時》所見的君主等人名」をそれぞれ報告し、参加者と討論を行った。前者は、清華簡『邦家之政』は他文献の思想的要素を繋ぎ合わせた、折衷的な篇としての性質を有し、統治に関する総合的な議論を行った篇であり、また簡便なマニュアルとでもいうべきものであり、思想的に儒墨を超越したものでもあることを論じた。後者は、郭店楚簡『窮達以時』に見える君主名と他の出土文献・伝世文献のそれとを比較検討し、戦国時代には伝世文献から窺えるような伝説時代から秦漢帝国までの一直線ではない、別の正統が存在し、秦漢帝国によりそれが消滅したことを述べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、今年度は2年目として、清華簡の報告書第8冊『清華大学蔵戦国竹簡』(捌)(中西書局、2018年11月)に収録された出土文献である『邦家処位』『治邦之道』を基本資料として検討することなっていた。『邦家処位』『治邦之道』はいずれも政治・君主論を扱った篇である。しかし研究が予定より早く進み、それらの作業を前年度内に終えられたため、今年度は当初3年目に予定していた、『天下之道』『虞夏殷周之治』の訳注作成、および勤務先の紀要での発表とを済ますことができた。『天下之道』がテーマとするのは天下論、『虞夏殷周之治』の場合は礼楽制度論である。また研究の補助とするため、『邦家処位』『治邦之道』のテキスト型データベースの作成については予定通り行った。新型コロナによる海外渡航規制が緩和されたものの、個人的事情により国外に出ることが難しかったが、清華大学のシンポジウム2件については、オンライン参加が認められたため、それを利用して、『邦家処位』については海外で口頭による研究報告を行うことが許され、またパソコンの画面越しではあるが、シンポジウム会場やオンラインの参加者達と研究上の議論ができた。また前年度のテキスト型データベースにより得られた情報に基づき、現地参加は適わなかったものの、『邦家之政』に関する論考も鄭州大学のシンポジウムに送ることができた。以上、前年度以来、当初の想定より早めに研究が進展したことと、海外、特に中国大陸との交流に関する環境が、初年度と比較してかなり改善されたこともあり、計画より早く研究を進めることが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も基本的には当初の研究計画通りに進める所存である。但し、初年度に引き続き2年目においも予定より早く研究が進んだため、それに合わせて、清華簡の報告書第8冊『清華大学蔵戦国竹簡』(捌)(中西書局、2018年11月)所収の出土文献の訳注作成については、今年度に行う必要がなくなった。それから『天下之道』『虞夏殷周之治』のテキスト型データベースの作成は予定通り行うつもりである。これらの作業により、既に訳注・データベース作成の終わった篇については、先秦時代の楚地域における政治思想の特質や汎地域的なその共通点を見出すことを行いたい。その作業とともに、これまで3年間の総仕上げとして、それら特質や共通点が先秦時代の楚地域の歴史において意味することは何か、またより広い時間的空間的領域から見通せることは何か、といったことをまとめる作業を行いたい。そして3年目は、既に海外の研究機関からシンポジウム報告の招聘を受けているため、その機会を利用して本研究の成果を発表する場として活用したいと考えている。また2年目に起きたような、予定通りの形で研究報告ができなくなるといった不測の事態が生じた場合は、オンライン参加に切り替えることを主催者側に対して要請するなど、できる限り研究発表の機会を確保できるよう、試みていくことにしたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)