Project/Area Number |
22K00919
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
村田 雄二郎 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70190923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 早苗 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 講師 (30913066)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 日中戦争 / 対日協力 / 知識人 / 対日両力 / 占領地政権 |
Outline of Research at the Start |
本研究は対日協力政権である汪精衛国民政府の周辺で活動した知識人の思想について研究するものである。周化人は政権が推進した東亜聯盟運動の理論家であり,日本国内とは異なる理念と構想をもって独自の大アジア主義を展開した。楊鴻烈は東アジア法制史を専門とする大学人で,汪政権のもとで日中関係研究に関する時局的な発言を行った。これら「忘れられた」知識人が戦争と占領という極限状況の中で,東アジアの歴史をいかに総括し,また未来への秩序構想につなげていったのか,本研究では,中国における東亜聯盟運動の主体性と未発の可能性という視座から,これまでとは異なる中国独自のアジア主義思想の系譜を発見することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
まず,移動が自由になった今年度は,昨年度果たせなかった国内・国外出張をおこなった。村田は5月に山形県鶴岡市の郷土資料館を訪れて,石原莞爾資料に含まれる東亜連盟関係の資料調査を進め,中国における東亜連盟関連機関の刊行物(『東亜連盟月刊』,『中国与東亜』,『東亜連盟画報』)を閲覧し,複写した。また,11月には香港大学にて資料調査をおこない,『南華日報』などこれまで未発掘であった多くの資料を閲覧し,デジタル化されたファイルを入手した。同時に「文化漢奸」に関わる新資料を発掘することもできた。その中には,周化人と楊鴻烈の論考や関連記事が多く含まれ,かれらの行動や思想を追跡・分析する上で,重要な文献的土台を築くことができた。さらに,3月には東京大学文書館で資料調査を行い,楊鴻烈が東京帝国大学留学していた時期の履歴書や奨学金受給延長願いなどの書類を発掘した。このほか,デジタル・アーカイブ資料としては,台湾中央研究院胡適記念館「胡適档案検索系統」で胡適あての30数通に上る楊鴻烈の書簡があることを確認した。これに加えて,山口は東亜聯盟運動が日本占領下の上海で汪精衛政権によってどのように推し進められたかを把握するため、汪精衛政権の機関紙『中華日報』上に設けられた特別欄「東聯週刊」(全64号)の全記事目録を作成した。 これらの作業をもとに,村田は主に楊鴻烈の経歴と事績を整理するとともに,10ページに及ぶその著述一覧を作成した。さらに,楊鴻烈にかんする研究成果を2024年3月6日(土)に神奈川大学にて開催された中国人留学生史研究会第106回研究会において「近代中国人の日本留学:3つの類型(陳天華・陶晶孫・楊鴻烈)」と題して報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周化人と楊鴻烈の事績や思想に関する資料は,本年度の調査を通じて,おおむね閲覧・収集できたと言える。ただし,国外の関連資料はまだ未発掘のものがあり,さらなる調査と分析が必要である。中国における東亜連盟運動に関しても,完全とは言えないが,南京・上海・広州などで刊行された雑誌や新聞の記事をかなりの程度把握することができている。また,汪精衛政権の機関紙である『中華日報』の東亜連盟関連記事については,山口の目録化と整理により全貌が浮かび上がってきた。これらの基礎作業をもとに,現在は各種文献・資料を解読・分析し,論考にまとめる状態に近づきつつある。研究代表者と分担者は常に資料の調査状況や研究の進展について連絡を取り,必要に応じて情報交換をおこなっている,以上から,全体として研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる2024年度は,研究のとりまとめを目標として,収集した資料の解読と分析,学会報告,論文執筆を順次進めてゆく。村田は,周化人と楊鴻烈に関して収集した資料資料を解読・分析し,10月に京都大学人文科学研究所の研究会で,「楊鴻烈と日本:アジア主義をめぐって」と題する研究報告を行う予定である。また,楊鴻烈の経歴と学術著作に関する論考を執筆し,学術誌に投稿する。山口は7月の慶應義塾中国文学会で,収集した『中国与東亜』と『中華日報』「東聯週刊」をもとに,日本占領下上海における東聯運動の盛衰について研究報告をおこなう。また,中国おける東亜連盟運動に関するさらなる資料調査のため,8月に香港に出張する予定である。 中国における東亜連盟運動に関しては,最終的には二人の研究成果を併せて論文にまとめ,国際学会で報告するなど,成果の発信につとめていく。
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