「周縁部」の視点から見る北部豪州と日本人年季契約労働者に関する歴史基盤研究
Project/Area Number |
22K00925
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
村上 雄一 福島大学, 行政政策学類, 教授 (10302316)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | オーストラリア / 日豪 / 日本人移民 / 南洋 / 周縁部 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、第一に、主に明治から太平洋戦争に至る期間において、北部豪州における真珠貝産業の日本人(出稼ぎ)労働者の具体的な経験を明らかにすることで、国家や植民地の中心から離れた北部豪州という「周縁部」で働いていた日本人労働者の視点から「南進史観」を復元・再構築することである。 第二に、現在、日本で急速に進む外国人労働者導入と多文化共生の在り方に対し、白豪主義の下、「外国人労働者」としての日本人移民から歴史的教訓の視座を得ることである。 第三に、この研究活動を通じて入手できた北部豪州における日本人労働者の貴重史資料を整理・データベース化等することで、将来世代への継承を目指すことである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本人移民や出稼ぎの地であったカナダやアメリカなどに比べて研究が大きく遅れている白豪主義時代の北部豪州における日本人労働者の移動と海洋資源の開発について歴史的な精査を行うことである。 令和5年度においては、真珠貝産業に加え、サトウキビ農園に従事するために越境移動した日本人諸集団の動態を精査し、外国人労働者として彼らが真珠貝産業やサトウキビ農園の開発や発展において経験した「差別」と「被差別」の歴史的経緯や事象を明らかにすることを目的とした。 まずは年間を通して日本で入手可能な書籍やオンラインによるオーストラリア側の公文書や新聞記事検索等で,主要な研究対象である北部豪州における日本人年季労働者に関する文献・資料と情報の確認および収集を中心に行った。 それ以外の研究活動としては、まず6月に開催されたオーストラリア学会全国研究大会に参加、最新の日豪関係研究動向を確認するとともに、研究者との情報・意見交換を行った。9月にはオーストラリアのブリスベンとタウンズビルで現地調査を実施、現地の公立図書館や大学附属図書館等で日本では入手困難な文献・資料の調査・収集を行った。また、現地研究者とも情報・意見交換を行った。 2月にはオーストラリア特別講演会で昨年9月に行った現地調査報告を行い、研究者等との意見交換を行った。3月には遠隔で行われた研究会(「国境を越えた地縁社会ー豪州出稼ぎ労働者を繋いだ日本人商店主の現地適応戦術」)でも9月に行った現地調査結果について報告、その中で研究成果の一部を報告した。 3月に発行された『移動と境界』(飯笹佐代子・鎌田真弓編著、昭和堂)で担当した一章および2コラムにおいて、本研究の成果の一部を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本における通常の文献・資料等の収集のほかに、コロナ禍以降できなかった研究者との対面による情報収集・意見交換や、オーストラリア現地での文献・資料収集を本年度も実施できたこと、および、講演会・研究会・出版等で成果の一部を公開できたことことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで同様、年間を通しては日本で入手可能な書籍やオンラインによるオーストラリア側の公文書や新聞記事検索等で,主要な研究対象である北部豪州における日本人年季労働者に関する基本的な文献・資料と情報の確認および収集を行う。また日本の国立国会図書館等でもデジタル化が急速に進展し、これまで入手困難だった明治期の文献・資料等が以前よりも検索や入手が容易になっており、これまでオーストラリアの日本人年季労働者についてはオーストラリア側の文献や資料に依拠することが多かったが、それらと日本側の文献・資料を突き合わせることで、従来よりもより精度の高い研究が可能になるよう今後も研究推進を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)