ボスニアにおけるハプスブルク帝国統治とレイスルウレマーとの関係の変容
Project/Area Number |
22K00949
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
米岡 大輔 中京大学, 国際学部, 准教授 (90736901)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ボスニア / レイスルウレマー / ハプスブルク帝国 / ボスニア・ヘルツェゴヴィナ / イスラム統治 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ハプスブルク帝国が占領後のボスニアで1882年10月に創設したレイスルウレマー職(イスラムの宗教指導者)に着目し、帝国統治と同職との関係の変容を追うために、1、徴兵制の導入、2、自治法下でのムスリムの初等教育、3、大戦勃発後のハプスブルク帝国との関係、4、南スラヴ諸民族統一国家の創設への動き、をめぐるそれぞれの時期のレイスルウレマーの言動を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2023年度は、当初の予定どおり、1893年にボスニアのレイスルウレマー(イスラムの宗教指導者の長)に就任したアザパギチが、イスラムをめぐるどのような教義・理論から徴兵制の実施をいかに正当化しようとしたのか、さらに移住活動の抑制にむけてどのような施策を当局に提言したのかという研究課題に取り組んだ。その際、①1881年11月の徴兵法発布の歴史的背景を詳らかにするために、ハプスブルク帝国が、1878年7月のベルリン条約と1879年4月のオスマン帝国との協定の締結をへて、イスラム統治の基本方針をどのように定めたのか、②1881年に創設されたレイスルウレマー職にアザパギチが就任するまでにどのような歴史的経緯があったのかを踏まえたうえで、彼が1884年に発表したとされる著作『Risala on Hijra』でどのような主張を展開したのか、を考察した。①に関しては、いわゆる「東方問題」関連の英語・ドイツ語・フランス語・ボスニア語の先行研究および刊行史料を収集・分析しながら、課題の解明に必要となる歴史的事実の整理をまず進めた。そのうえで、オーストリア王室・宮廷・国立文書館に収蔵されているボスニア占領関連の未刊行史料の精読を始めた。本未刊行史料に関しては、数百の文書が複数の箱に分かれており、かつ当時の各種官僚などの手書き文書であるという事情から、解読に時間を要するため、現在も継続して分析を進行中である。②に関しては、アザパギチが著作の中で、ヨーロッパ支配下にとどまることを正当化する議論を展開したこと、加えて、ボスニアのムスリムによるオスマン帝国への移住に反対していたことが明らかとなったが、そうした彼の議論の思想的背景までは十分に把握することができなかった。今後は、この点の解明に重きをおき研究を進めたうえで、①②の成果を総合し論文として公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、継続するコロナ感染症拡大と国際情勢の急変による渡航費用の高騰などの事情から、当初予定していた海外での史料調査を断念せざるをえなかったが、その分オンラインを駆使しつつ史料の収集・分析を進めた。さらに、これまで入手済みであったものの未読であった文献史料を精読する時間もとることができたため、ある程度本研究課題が順調に進んだと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初の計画のとおり、ボスニアとオーストリアの国立文書館等での史料の収集・分析を行う予定である。その際、ハプスブルク帝国によるボスニア併合後、1910年にレイスルウレマーに就任したシャラツが自治法の下でどのような活動を展開したのか、という問題の考察を重点的に進めたい。ただし、現在コロナ感染症の拡大はおさまりつつあるが、状況によっては今年度と同様に現地に渡航できない可能性もあるため、その際は、海外の諸機関とインターネットを通じてコンタクトをとり、史料の所蔵状況を確認するだけではなく、本研究に必要となる史料をPDFや画像ファイルで送付できないかどうかを粘り強く交渉し、その収集と分析に努めることにしたい。 なお研究成果に関しては、ZoomやGoogle Meetなどの活用も含めて、学会・研究会での口頭発表を行う予定である。また現在、これまで進めてきた研究の一部に関しては、学会誌に投稿する論文を鋭意執筆中であり、その完成にむけて積極的に取り組んでいく。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)