Project/Area Number |
22K00957
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
根津 由喜夫 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (50202247)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | ビザンツ / アドリア海 / 中世イタリア |
Outline of Research at the Start |
イタリアとバルカン半島に挟まれたアドリア海は、5世紀後半にローマ帝国が東西に分裂して以来、ほぼ一貫して東西両世界の境界地帯を形成していた。ただし、そうした状況は常時、平穏だったわけではなく、6世紀や7世紀後半以降のように軍事的緊張状態と隣り合わせの時代も少なくなかったた。ところが近年では、周囲の大国の隙を突き、自制力の拡大と強化に努めている現地勢力の動向にも注目が集まりつつある。本研究は、アドリア海を「分断の海」ではなく、東西両世界を結ぶ「境域」地帯と見ることで、両岸の諸勢力の間でヒト、モノ、文化が活発に行き交う独自の圏域が生まれていたプロセスの全容解明を図るものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍がようやく終息を迎えたのを機に昨年の夏、イタリアのアドリア海沿岸部を中心に調査旅行を実施することができたことが昨年度の最大の成果と言えるだろう。この調査では、中世において海港都市として発展し、ビザンツとの関係も深かったアンコーナからリミニ、ラヴェンナに至るまでのアドリア海東岸部の都市群の史跡調査を実施し、さらには内陸部のスポレートやウルビーノなどの内陸部まで足を延ばしてビザンツとの文化的交流の形跡を調べることができた。アンコーナでは中世の港湾施設の実地調査、旧市街の中世教会の地下礼拝堂のモザイクとフレスコ画の調査等を行った。さらにアペニン山脈を越えたトスカーナ地方のアレッツォやコルトーナでは、ビザンツ帝国滅亡前後、積極的に教皇庁のビザンツ支援活動に取り組んでいだフランチェスコ修道会の政治的プログラムをその時代の教会壁画や装飾から読み取る作業を行った。とくにアレッツォの聖フランチェスコ聖堂内陣部のピエロ・デッラ・フランチェスカの大作「聖十字架伝説」を現地で詳細に観察することができたことは、今回の調査旅行の最大の成果と言えるだろう。また、フィレンツェでは、フェラーラ・フィレンツェ公会議に臨むビザンツ側代表団とそれを迎えるメディチ家の人々の姿をメディチ・リッカルディ宮殿のマギ礼拝堂のブノッツォ・ゴッツォーリのフレスコ画から確認する作業を行った。こちらも様々な歴史的人物が大画面に描き出されており、文字史料だけからはうかがい知れない当時の空気感を考察する上で貴重な情報源となることが期待される。これら現地調査の成果を先行研究と照合し、されなる精査、分析を行う作業が現在、進行しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の期間中、長く実施できなかった海外調査がようやく実施できたことの意義は大きい。2022年夏季に実施した調査旅行では、イタリアのアドリア海沿岸部を中心におよそ2週間にわたり中世からルネサンス時代の史跡や博物館等を巡り、実地調査と資料の収集に従事することができた。それらは現在、整理、分析中であり、現時点ではいまだ公表に至ってはいないが、それらについても作業は滞りなく進行しており、現状において、研究活動はおおむね順調に進捗していると判定することができるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、当初の調査旅行の順番を次年度と入れ替え、おもに南イタリアの旧ビザンツ領地域(プーリャとカラブリア)、およびアドリア海対岸のギリシア北西部イピロス地方とイオニア諸島の現地調査を重点的に行いたいと考えている。南イタリアの同地域は、イタリア本土の中でもビザンツの政治的・文化的影響が長く残存した地域であり、東方正教系の修道院の活動も盛んであったことが知られている。また、これらの地域の教会や修道院にはビザンツ・東方由来のイコンや聖遺物などが各地に伝存していることが知られており、今回はそうした東西交流の歴史的遺産を現地でつぶさに調査することが大きな目標となるであろう。一方、ローマ教会の側でも当地において絶大な威信を誇ったモンテ・カッシノ修道院も11世紀にはビザンツ密接な関係を結んでおり、東西両勢力の関係は様々な側面から看取することができる。 他方、アドリア海対岸のギリシア北西部イピロス地方とイオニア諸島については中世後期、エペイロス君侯国時代の史跡を中心に調査を進め、現地の支配エリートの存在形態や彼らの政治的イデオロギーについて考察を進めていく予定である。これらの地域ではアドリア海西岸部とは逆にイタリアからの様々な政治的・文化的影響があったことがかねて指摘されており、この旅の現地調査においても、そのあたりの状況を詳細に調査してみたいと考えている。
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