Project/Area Number |
22K00963
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
野田 昌吾 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (50275236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 章生 札幌学院大学, 法学部, 教授 (60269719)
野田 葉 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (70568386)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 1968 / 冷戦秩序 / 戦後秩序 / 1968年 / 冷戦 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1960年代末から1970年代初頭にかけて先進国を中心に世界で同時多発的に見られた学生を中心とする若者たちの政治的社会的抗議運動及び文化的異議申し立ての動き(以下「1968年」と総称する)の比較研究のフレイムワークの構築を目指すべく、「冷戦秩序と各国の戦後秩序体制との相克」を、戦後国際秩序における覇権国たる米国とそのJunior Partnerである日本と西ドイツを対象として具体に分析し、そうした「相克」の実相とそれぞれの「1968年」との関係を明らかにすることで、「1968年」の比較研究の一つの基本的視座を定めることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる2023年度は、前年度の検討と議論を踏まえ、共同研究者は、それぞれの担当課題ごとに分析を進める作業を行ない、その成果を研究会にて報告を行ない、その成果の一部を刊行することもできた。 今年度、とくに中心的に取り組んだ課題は、1968年の性格をめぐる検討とそれを捉えるための方法についての検討である。近年、68の画期性やその独自の意義が相対化される傾向が強いが、そうした相対化(歴史化)の流れを大きく後押ししているのが、68の「文化革命」テーゼである。そのテーゼの由来の確認から見えてくる、68をめぐる「記憶の政治」の展開を確認する作業とともに、この「記憶の政治」のなかで忘却の対象とされてきた68の「政治革命」の側面の評価のための作業が精力的に進められた。この作業は当然、「記憶の政治」をはじめとする歴史学や「新しい政治史」における新たなアプローチの摂取を必要とするが、この点に関する検討も行った。 これ以外に、研究会では、68年以後の先進諸国の新自由主義化と第三世界の関係に関する研究と、日本の68の展開の背景であり、その前提ともなる60年代の日本の保守思潮に関する研究の報告がなされ、戦後の冷戦秩序と各国の国内体制の変容・展開との関係で68を捉えようという本研究のフレイムワークに沿って、具体的な研究・分析も進められた。 こうした研究の成果は、研究代表者による戦後政治の見取り図を示した論考、ならびに日本における憲法政治に関する国際シンポジウムでの報告というかたちで具体化されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
さまざまな事情により、過去2年間、海外調査の実施は断念したが、研究計画に記した方針とほぼ対応したかたちで研究を遂行することができた。 それぞれの研究成果を持ち寄って、研究枠組みの方向性の妥当性を確認する議論を積み重ねているが、大きくその方向性を変更する必要はないことが確認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度も書いたが、「1968年」研究の各国での展開を見ると、焦点の拡散、輪郭の不明確化の傾向が見て取れなくもない。われわれとすると、この2年間の研究により、この間の(少なくとも一部の)研究に見て取れるそうした「68概念不要論」的な見方の限界も研究開始当初より意識できるようになり、先行研究とは異なるアプローチも可能ではないかという感触を得つつある。この点については、今年度の共同研究の大きな成果ではないかと考えている。これらの成果をもとに研究のとりまとめを行っていきたい。
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