日本古代における「里長」層の形成過程とその政治的社会的基盤
Project/Area Number |
22K00970
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田中 裕 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (00451667)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 里長層 / 後期古墳 / 終末期古墳 / 7世紀 / 長者 / 里 / 郷 / 古墳 / 建評 / 厨 / 中間層 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、考古学的手法を主に採用して、古墳時代の「中間層」と奈良時代の「里長」が、7世紀を挟んだ6世紀から8世紀にかけてどのような関係にあるのか、当該職の「中間層」としての権力基盤、利権あるいは経済基盤について明らかにするため、古墳時代研究の主要な方法であった「首長墓系譜研究」を応用する。具体的には、身分秩序を表す古墳が、終末期に規模を縮小し、記念物としては寺院へ、墓としては火葬墓等へと移行することから、移行前後の状況について、地域の中での集中域(墓域)等を詳細に調べ、分布図を作成する。これらにより把握した古墳・寺院・火葬墓立地の変遷と、令制に伴い編成された郡・里(郷)との関係を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、古墳時代から奈良時代までの国家形成史における集団編成、地方支配システム形成の過程について地域の実像に即して具体的に描くこと、とくに地方支配の実務において重要な役割を果たしたはずにもかかわらず、ほとんど実像が知られていない「里長」職を担った集団、すなわち古墳時代から奈良時代の移行期において地域の支配者層と民衆の間にあって「中間層」とみなされる集団に焦点を当て、地域社会の中での政治的・経済的利権の根拠や活動の内容、その基盤の安定性(出自の伝統性)などの実像をさぐることを目的とする。このとき、古墳時代の「中間層」と奈良時代の「里長」が、7世紀を挟んでどのような関係にあり、繋がっているのか、変化しているのかを調べるため、古墳時代研究の主要な方法である「首長墓系譜研究」を応用し、6世紀から8世紀にかけて古墳・寺院・火葬墓立地の変遷を追い、記念物の内容や分布状況の変化と、令制に伴い編成された郡・里(郷)との関係を分析する方法をとる。初年度である令和4年度は、研究計画に基づく調査を模索したが、いまだ新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、現地との調整により調査が可能となった茨城県ひたちなか市三反田古墳群の測量調査を行うとともに、郡家推定地から離れた位置にある古墳時代後期(6世紀)の前方後円墳であり、付近に正倉等を伴う官衙別院に関わる遺跡が所在する日立市西の妻古墳群が本研究にとって重要と判断されたため、墳丘規模と築造時期を把握する発掘調査を実施した。また、茨城大学人文社会科学部地域史シンポジウムと協力して本研究を進めるべく、2月11日にシンポジウム「北関東の豪族たちⅡー「長者」たちの萌芽と基盤ー」を開催し、地域の中で海人集団などの特定の職能をもつ集団や、後の里が置かれた地区に所在する古墳時代の集団について、6世紀から8世紀にかけてのその動態を検討することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
調査箇所については感染症の状況により柔軟に変更しながら計画に即して実現するとともに、計画には盛り込んでいなかったシンポジウムについても、研究テーマに即して実施し,問題意識を広く共有できた。とくにシンポジウムでは、本研究の鍵として、特定技能(職能)集団の把握が必要であることを明らかにできたことは、当初計画にない新たな知見を得られたと思料する。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症については柔軟に対処できるようになったことから、令和4年度では見送った悉皆的な資料収集を令和5年度、令和6年度に行えるように予定を調整し、着実に実行する、ただし、泊まり込みの大人数作業については今後も慎重に判断しつつ、現実的に調査可能なフィールドを選定し、積極的な調査活動をする。令和5年度に調査を予定していた有賀台1号墳については別の研究で成果発表がなされたことから、そのデータに基づいて研究を進めることに変更し、新たに選定しかつ前倒し実施した日立市西の妻古墳群の発掘調査成果について、出土埴輪資料と出土遺構記録の整理作業を実施する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)