倉庫の所有形態からみた弥生・古墳時代における集団関係の変質に関する研究
Project/Area Number |
22K00971
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高橋 浩二 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (10322108)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 弥生・古墳時代 / 掘立柱建物 / 高床倉庫 / 布掘り柱掘形 / 拠点集落 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、弥生時代から古墳時代の北陸を中心に、布掘り柱掘形をもつ掘立柱建物跡(以下、布掘式掘立柱建物跡)や一般的な掘立柱建物跡を比較して倉庫の抽出を行う。それとともに、倉庫の規模や数、計画的配置などを基準にして集落遺跡を分類しながら、倉庫の所有形態の変化や集落遺跡の性格の違いなどを検討する。加えて、遺物の出土状況、および前方後円墳の出現や変遷との対比などを通して、倉庫の所有形態からみた集団関係の変質過程を検討するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き、研究目的①北陸に多く見られる布掘式掘立柱建物跡からの高床倉庫の抽出に関して検討をすすめた。当該建物について、桁行長÷梁行長の比率を分析したところ、弥生時代終末期前半を中心とする時期の石川県御経塚シンデン遺跡や大友西遺跡ではその数値が1.45を越える建物が多数存在する一方、古墳出現期の同県上荒屋遺跡では数値が1.25を下回るものが大半であり、よって上荒屋遺跡の段階にかけて梁行が拡張化する傾向にあることを確認した。また、梁行の長さが4.0mを越える建物が、前者の遺跡では少数派だが、上荒屋遺跡では多数を占めるようになることを明らかにした。 続いて上荒屋遺跡の集落構成について検討したところ、建物群は4小群に分かれ、2~3段階の変遷を経て展開すること、また各小群は基本的に大形と小形の竪穴式(平地式)建物2~3棟で一組を成し、これに布掘式掘立柱建物、相対的に大形の掘立柱建物、小形の掘立柱建物が1棟ずつ付随すると推定できる一方で、西1群だけは大形の布掘式掘立柱建物が集中する特異なあり方を示すことを確認した。 弥生時代後期後半までの布掘式掘形式建物については、梁行の長さが2~3m台のものが大半であり、これらは梁行1間あたりの間隔が短くおさえられることから、高床倉庫と考えるのが妥当と言えるが、上記の検討結果や、また梁間4.0mの掘立柱建物は高床倉庫の基準を超えるという指摘を勘案するならば(浅川滋男ほか2018)、より新しい段階のものについては、高床倉庫とは上屋構造や性格の異なる建物が少なからず含まれる可能性を考える必要があり、今後もさまざまな地域の類例について調査する予定とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究目的のうち、①布掘式掘立柱建物跡からの高床倉庫の抽出に関しては、高床倉庫と認定する基準について検討をすすめ一定の見通しを得た。しかし、梁間4.0mを越える建物の上屋構造や性格については未解明な点も多い。梁間3.4~3.9mの建物についても評価ができておらず、今後さらに類例を比較しながら検討をすすめることが必要である。また、一般的な掘立柱建物跡からの倉庫の抽出に関しても、調査報告書を調べ、検討を行う上で重要な集落遺跡を確認するにとどまっている。研究目的②の北陸における集落遺跡の分類や検討に関しては、上荒屋遺跡の集落構成について再検討し、研究実績の概要に記したような見通しを得た。今後、他の集落遺跡についても比較検討をすすめていく予定である。 このように、今年度予定していた研究目的①と②について、今後も引き続き検討をすすめることが必要な状況であるため、現在までの進捗状況について上記のように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的①布掘式掘立柱建物跡からの高床倉庫の抽出に関しては、認定基準になる可能性が考えられる梁行の長さに注目しながら、北陸の類例を時期ごとに比べるとともに、他地域の類例とも比較しながら、今後も引き続き検討をすすめる。一般的な掘立柱建物跡からの倉庫の抽出に関しては、上荒屋遺跡での検討をさらに深めるとともに、北陸における弥生から古墳時代の集落遺跡の調査報告書を詳しく調べ、類例の確認作業を行う。 さらに、研究目的②に関しては、倉庫の規模や数、計画性などを基準にして北陸における集落遺跡の分類や検討を引き続きすすめる。また、これらの研究を遂行する上で重要な遺跡については、可能な限り資料調査を実施する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)