Project/Area Number |
22K00973
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
内記 理 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (90726233)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | カローシュティー / ガンダーラ / 仏教文化の東漸 / タキシラ / 西北インド / カローシュティー文字 / 字形 / インド / 考古学 / 東西交渉史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、西北インド(パキスタンのハイバル・パフトゥンフワ州とその周辺)の仏教文化を理解することを目的に、とくにカローシュティー文字で書かれた碑銘資料に着目し、その制作時期についての検討をおこなうものである。各年度において、パキスタン現地を訪問し、遺跡や博物館で調査を実施するほか、世界の博物館・美術館に収蔵される碑銘資料の調査をおこない、調査データを集める。自身がこれまでにおこなってきたガンダーラ彫刻の研究に基づいた見解と合わせ、西北インドにおける仏教文化へ対する理解を深める。そうすれば、それが東漸した結果としての日本における仏教文化に対する理解も進むはずである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、パキスタン現地調査、各国の博物館での関連資料の調査、国内外での研究発表をおこない、充実した研究成果を上げることができた。 6月には中国北京を訪れ、故宮博物院における公開講演をおこなった。聴衆は会場に300人とオンラインで30万人以上という俄には信じがたい盛況ぶりであった。また、講演の前後の日程をつかって、故宮博物院で開催されていたガンダーラ美術展において銘が刻まれるガンダーラ彫刻の調査を実施するとともに、中国国家博物館を訪問し、洛陽で採集されたカローシュティー銘を持つ井戸枠と三国時代の仏教図像の調査をおこなった。8月にはパキスタンを訪問し、博物館で碑銘資料の調査をおこなったほか、パキスタン連邦政府考古局の協力のもと、イスラーマーバード周辺で古代の遺跡を探して歩いた。その結果、4カ所において未発見の遺跡の可能性のある土器散布地を認めた。2月にはアメリカ合衆国ニューアークでの国際シンポジウムにオンラインで参加し、口頭で研究発表をおこなった。また、3月には韓国ソウルを訪れ、国立中央博物館において大谷探検隊資料の調査をおこなった。なお、本年度は計4点の論文を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の最大の成果は、コロナによる感染症の流行後に初めてパキスタン現地を訪れ、今後の現地調査の道筋を立てられたことにある。現地で認めた土器の散布地は未発見の遺跡である可能性が高く、今後の現地調査の可能性を大きく広げるものとなった。 パキスタン以外に中国北京や韓国ソウルを訪問する機会を得、それぞれの博物館において仏教文化の東漸にかかわる重要な資料の実見調査をおこなうことができた。 また、日本国内だけでなく中国やアメリカ合衆国で講演や研究発表をおこなうことにより、世界各国の研究者と研究にかかわる情報を共有することができた。 さらに、本年度は4点の論文を公刊した。とくに、カローシュティー文字の形態からガンダーラ彫刻の年代を考えた論文では、従来とは全く異なる視点からの彫刻の編年研究の方法を示すことができた。 以上のように、現地調査、資料調査、研究の発信、交流、という各側面において、本年度は当初に想定していた以上の成果を挙げることができたため、「当初の計画以上に進展している」区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に得たパキスタン現地の研究者とのつながりを最大限に生かして、現地での調査を継続的におこなうことを目標とする。現地では、当分の間は博物館での資料調査や遺跡の現状の確認のための踏査をおこないたい。ただし、感染症の有無にかかわらず、パキスタンは渡航が決して容易な国とは言えない。もし現地渡航が困難な場合には、パキスタン以外の国における関連資料の調査や、日本国内における博物館調査・仏教寺院の調査を実施する。同時に、引き続き国内外において研究発表・講演の機会をつかみ、研究者との国際的な交流を通じて、研究にかかわる情報の交換につとめたい。
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