Project/Area Number |
22K00990
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長崎 潤一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70198307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高倉 純 北海道大学, 埋蔵文化財調査センター, 助教 (30344534)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 有舌尖頭器 / 蘭越型細石刃核 / 縄文時代草創期 / 旧石器時代終末期 / 石刃核 / 細石刃石器群 / 有舌尖頭器石器群 / 神子柴・長者久保系石器群 / 立川ポイント |
Outline of Research at the Start |
本研究では旧石器時代終末期から縄文草創期への石器群の編成の変化について、細石刃石器群から有舌尖頭器石器群への大きな移行の中で捉えなおす検討を行う。近年新潟県上原E遺跡において白滝型細石刃核と神子柴長者久保石器群の共伴が確認され、当該時期における従来の石器群変遷の枠組みでは捉えきれなくなっている。そこで北海道から本州北半の当該石器群(細石刃石器群、神子柴長者久保系石器群、有舌尖頭器石器群)を再検討し、道南の重要遺跡である北海道蘭越町立川遺跡の再発掘によって、火山灰編年学、炭素年代測定資料を得て、当該時期の石器群編成について明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究で重要なデータを収集する目的で北海道蘭越町立川1遺跡での発掘調査を2回実施した。発掘調査の結果、立川1遺跡の有舌尖頭器石器群出土層位が予想よりも深く、従来考えられている年代より古いのではないかとの予察を得た。また細石刃文化期の最初期と考えられる蘭越型細石刃核と石刃石核3点が集中して出土した。1点の石刃石核は従来蘭越型細石刃核と共伴する石刃石核とは異なり、円錐形であり、このためリダクションによって蘭越型細石刃核へ作り変えにくい形態を呈している。 北海道埋蔵文化財センターが調査した帯広空港南遺跡の資料調査を行ったが、立川1遺跡の有舌尖頭器石器群と極めて近似した石器群であることが確認できた。そしてその炭素年代が2万~2万1千年前との結果が報告された。この年代値は立川1遺跡の有舌尖頭器石器群の出土層位と極めて整合的である。本州での有舌尖頭器の年代は1万5千年前を遡ることはないので、本州と北海道の有舌尖頭器石器群は別時期のものである可能性が高まった。 本研究での立川1遺跡の調査成果は、本州の草創期石器群と北海道の有舌尖頭器石器群の関係性や時間的差異を議論するうえで、重要な資料となってきた。 また立川1遺跡で出土した円錐型の石刃石核は、蘭越型ではなく紅葉山型の細石刃核へ作り変えるのが容易な形態をしている。従来の細石刃石器群の編年では、紅葉山型は最新段階、蘭越型は最古段階に位置づけられてきた。しかし立川1遺跡のこの石刃石核の存在は、蘭越型細石刃核石器群と紅葉山型細石刃核石器群が共伴する可能性を示すものである。このことは紅葉山型細石刃核石器群の編年的位置づけを変更する端緒となるかもしれない。両石器群の関係について更に既出資料の調査検討を進め、解明していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.発掘調査によって1958年調査区を発見することができ、当該資料も組み込んで研究を遂行できることとなった。 2.予見していなかったが、草創期土器と思われる遺物を発見できたこと。 3.有舌尖頭器石器群の出土層と最古段階の細石刃石器群の出土層を確認することができ、有舌尖頭器石器群の予想外の古さを実証する証拠の一つが得られた。 4.予期していなかったが、紅葉山型細石刃核石器群の編年的な位置付けについて出土遺物から予察を得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で実施した立川1遺跡の1次~5次の調査についての報告書となるような実績報告書を作成する予定である。有舌尖頭器石器群の炭素年代測定結果もそれまでには結果が得られる見通しである。有舌尖頭器石器群では2000点に及ぶ黒曜石砕片を得ているので、被熱分析を行って、炉跡についての空間分析の一助とする予定である。 微細な細石刃を見逃さない詳細な調査(廃土の全乾フルイ)を行っているため、調査面積が少なく、本研究では広大な立川1遺跡の一部の様相が判明したに過ぎない。本研究では完結できない点が多々あるので、本研究の後継となる研究計画を立案し、継続調査を考えていきたい。
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