Project/Area Number |
22K01018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03070:Museology-related
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 秀一 東海大学, 農学部, 教授 (60425577)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | ニワトリの行動 / ニワトリの音声 / 肥後五鶏 / 動物園 / アニマルウェルフェア / 来園者教育 |
Outline of Research at the Start |
動物園で展示されている動物の飼育管理について,アニマルウェルフェアに配慮した正常行動発現につながるシステムを開発し,その展示施設を活用して動物園における自然保護や生態系保全の意識向上につながる教育プログラムを開発することを目的とする.特に多くの動物園で飼育されている鳥類の飼育展示を生息環境展示もしくは環境エンリッチメントを用いた展示法に変更し,それを活用した教育環境プログラムを開発して効果を検討する.欧米の動物園では優れた教育プログラムが存在することから,それらを参考にしながら日本に適した環境教育プログラムを作り,動物圓の社会貢献につなげる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的の一つである,動物園の地上性鳥類におけるアニマルウェルフェアに配慮した飼育システムの開発には,まず現在の飼育環境での行動を定量化することが必要である.さらに22年度は単純な行動パターンの記録だけではなく,環境エンリッチメントの一つである「感覚エンリッチメント」への利用を考えて,熊本市動植物園で飼育されている肥後五鶏のうち,供試動物として,肉用鶏として改良された天草大王,愛玩用として知られている肥後チャボ,および古代踊りの装飾に用いるために改良された久連子鶏を観察対象として,発声とその他の行動の関係を明らかにすることを目的として研究を行った. それぞれの鶏種について発声を録音し、波形の特徴から「Crowing」、「Social contact call」、「Disturbance call」の3パターンに分類して各発声の発声時間や発声頻度、発声の前後の行動の発現割合から、発声と行動の関係性を解析した。 天草大王は他の鶏種よりも採食の最中にCrowingの多く、さらに採食に費やす時間が長かった。また,天草大王のCrowingはすべて地面で発生した.一方で,肥後チャボと久連子鶏は,止まり木での発声が多くなった.全体的にCrowingは佇立状態での発声が多く,Disturbance callは移動中に発声することが多かった.これらの結果は,環境エンリッチメントの導入は鶏種ごとに検討する必要性を示唆していると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題は動物園におけるキジ科の鳥類を用いた研究であるが,我が国の広範囲で鳥インフルエンザが例年よりも早く発生し,さらには多くの養鶏場で発生したことにより,動物園の対象ゾーンが一般の来園者の立ち入りが禁止されたことから,教育プログラムの実施ができなくなった.また,ニワトリと,祖先種であるセキショクヤケイを比較することにより,家畜化について来園者の理解を進める計画であったが,熊本市動植物園のセキショクヤケイが死亡したことから,ニワトリのみを研究対象にせざるを得なくなっている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,熊本市動植物園のニワトリおよびセキショクヤケイの飼育エリアでは,一組のセキショクヤケイが導入されているが,まだ環境への適応途中であること,さらに雄雌1羽ずつであることから,本年度は行動観察および飼育環境の改善に関してはセキショクヤケイを研究対象から外して,家禽であるニワトリのみを対象とする予定である.ニワトリの飼育エリアに対して,2022年度のデータを用いて,鶏種に適した止まり木(肥後チャボ・久連子鶏)や砂浴び場(天草大王)などの資材の導入や音声エンリッチメントの実施を行い,アニマルウェルフェアに配慮した飼育環境の開発を目指す.一方で,祖先種であるセキショクヤケイの保護を目的とした教育プログラム作成については,VRゴーグルおよび専用カメラを用いて進めて行く予定である.作成する映像は,普段見ることができないニワトリの行動,我が国の養鶏場(ケージ飼育・平飼い飼育),鳥インフルエンザに関する情報,野生のセキショクヤケイの生息環境情報を中心として,アニマルウェルフェアおよび野生環境の保護に関する必要性を感じる内容とする.今年度は,作成した映像を用いて教育プログラムを実施し,前後のアンケート調査によりその効果を検討する予定である.
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