Project/Area Number |
22K01050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Kanazawa University (2023) Teikyo University (2022) |
Principal Investigator |
丹羽 孝仁 金沢大学, 地域創造学系, 准教授 (10736268)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 引退移動 / 人口移動 / 高齢者 / ライフヒストリー / 社会ネットワーク分析 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,日本人高齢者の引退移動に関わる人間関係を社会ネットワーク分析の枠組みを用いて明らかにする。これによって,国内移動と国際移動,短期的滞在と長期的滞在の双方を結びつけ,高齢者の引退移動パターンを解明する。 そこで,日本および国外の統計資料を整理した上で,日本国内における日本人高齢者の引退移動先,国外における国際引退移動先において移住者たちのライフヒストリーと人間関係に関するデータを構造化インタビュー調査から収集し,引退移動の特徴を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本人高齢者の引退移動に関わる人間関係を,社会ネットワーク分析の枠組みを用いて明らかにすることを目的としている。特に,国内移動と国際移動,短期的滞在と長期的滞在のそれぞれの特徴を明らかにする。 2023年度は第一に,東南アジア農村における地域人口分析の観点からライフヒストリーに関わるレビュー論文を執筆した。都市・農村の地域区分を超えてグローバル化の影響を検討するプラネタリーアーバニゼーションの観点と,超国家的にネットワークとアイデンティティを有するトランスナショナルな移動だけでなくトランスローカルな移動に注目する観点は,日本人高齢者の引退移動を分析する上でも有効な視座となる。 第二に,タイのチェンマイに暮らす日本人高齢者へのインタビュー調査を実施した。調査の主要な観点は,ライフヒストリーの枠組みから移動要因を明らかにすること,および社会ネットワークの枠組みから居住者の滞在を支える共助の人間関係を明らかにすることである。調査結果の要点をまとめると,長期居住者であったとしても,日本の家族との関係を絶っているかどうかは個人差があり,またその関係が将来的な帰国の可能性には影響しない。 なお,調査協力者の人間関係(交友関係)に関する情報を収集し,それが海外での滞在を可能とするか否かを分析する予定であったが,調査協力者との対話を通じて具体的な情報収集を行わないことにした。これは,チェンマイにおける日本人高齢者間で広範な交友関係が構築されていないことに起因する。そこで定量的な分析ではなく,定性的な分析を実施することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は,現地調査の実施と人口移動に関する論文1編の執筆を行った。着実に研究を遂行できているものの,当初の計画では2022年度に現地調査を実施し,2023年度に分析結果を学会報告,論文投稿へと進める予定であった。現地調査のスケジュールを変更したため,全体的にやや遅れが生じている。 ただし,2023年度にはタイ,チェンマイにおいて日本人高齢者,特に長期居住者へのインタビュー調査を実施した。チェンマイにある日本人社会との距離感やホスト社会との関わり度合いなど,居住環境を明らかにできる資料となるため,調査データの分析を実施する。また,短期滞在者へのインタビュー調査実施数が長期居住者と比べ少ない状態にある。定量的な比較を実施しないことから,重大な課題ではないと捉えられるが,分析を実施した上で,追加調査が必要かどうかを判断する必要がある。 他方,タイ以外で調査を実施する予定の国におけるプレ調査が調査スケジュールを確保できずに実施できていない。これを早急に実施し,本調査に進めたい。地域間の比較も実施するため,タイで行った調査と同一の調査項目を調べることから現地調査の実施は可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度までに分析枠組みに関するレビュー調査やライフスタイル移民に関するレビュー調査を実施した。2024年度は,これらの視点を整理した上で,2023年度に実施したタイ,チェンマイにおける日本人高齢者に関する調査データを分析する。主な分析の観点は,日本人社会との距離感やホスト社会との関わり度合いであり,ライフヒストリーなど定性的な分析を行う。ライフヒストリーの枠組みから移動要因を,社会ネットワークの枠組みから居住者の滞在を支える共助の人間関係を,明らかにする。なお,当初は定量的なデータを収集し社会ネットワーク分析を実施する予定であったが,現地調査の過程で定性的な分析に修正することとした。これに関連する文献レビューも追加で行う。 さらに,まだ実施できていないフィリピンおよびカンボジアでの現地調査を行う。これらの地域での調査は,タイの調査結果と比較することを目的に,既存の調査項目を用いて実施する。 また,現地調査データと対応させて統計データの解析も進める。統計データの解析に関して,日本国内の人口移動については問題ないが,海外在住の日本人高齢者に関する統計資料の入手が困難なことが判明し,別の手立てを検討し始めている。具体的には,ストックベースでなくフローベースのデータとなるが,各国のビザ取得者数から全体像の把握に努める予定である。ただし,年齢に関わる情報は得られないため,この点は現地調査データで補完できるようにしたい。
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