Project/Area Number |
22K01055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
轟 博志 立命館アジア太平洋大学, サステイナビリティ観光学部, 教授 (80435172)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 歴史地理学 / 院 / 朝鮮半島 / 立地 / 分布 |
Outline of Research at the Start |
朝鮮半島における陸上交通体系の特徴は、古代から近世までの、道路体系や交通制度、関連施設の立地の連続性にあると考える。そのため、例えば高麗時代のように史料の不足により道路体系の復原が難しい時代においても、隣接する時代の状況から類推することにより、研究の進展が望まれると考える。そのためにはまず交通体系に関連する「通時的」な要素の研究が先行する必要がある。そこで新羅時代から朝鮮王朝時代まで存続し、現在の集落や都市の立地にも影響を与えている、準公営の宿泊施設である「院」と「院集落」に着目した。院と院集落の立地・分布の連続性を証明することで、道路体系の通時的連続性を明らかにするための足掛かりを構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は新型コロナウイルス感染症の5類化とともに、韓国などへの渡航規制がほぼ解除されたので、今までできずにいた現地調査を、まとめて積極的に行った。 6月に韓国に渡航し、江原道方面の院路の調査を行った。これは昨(2022)年度に行った、慶尚北道方面へのルート研究に続くものである。具体的には、春川市を基地とし、春川→華川→山陽里→ヘアン盆地→院通→弥時嶺→清澗亭→束草→襄陽→屈山寺址→羽渓→白茯嶺→臨渓駅→余糧駅→旌善邑→平昌邑→雲橋駅→楊口→春川の順で調査を行った。 その結果、昨年に調査した慶尚北道と同様に、駅路がない区間での「院路」の存在が炙り出された。ここまでではっきりしたのは、江原道でも特に三大路(関東大路)とその支線の勢力圏で多く確認される点だ。関東大路は首都漢陽(ソウル)から江原監営のある原州を通り、大関嶺で脊梁山脈を越えて東海岸に出て江陵に達し、そこで南北に分岐して海岸沿いに各都市を結ぶ線と、北漢江に沿って春川に行き、寒渓嶺と珍富嶺を越えて東海岸に向かう支線との2線がメインになる。つまり東海岸に到達するまでは、僅か二本の駅路で、200㎞に及ぶ東海岸の諸集落を繋いでいるのだ。当然、江陵から離れるほど、路線は大きな迂回路を取ることになる。 そこで、駅路は存在しないものの、近道になる別の峠道を通る迂回路が有用になってくる。例えば束草には弥時嶺、三捗には竹嶺(テッチェ)、羽渓には白茯嶺などだ。それらの路線に沿って、駅路ではないためで駅が存在しない代わりに、院が立地する。そしてこれらの院は、かつての、特に高麗時代に駅があった場所であることが多いと推定される。 また、1月にはソウル大学の招聘で、坡州市の民間人統制ライン内の古道と院宇について発表と調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年5月に海外渡航がパンデミック前の状態に戻ってから、出張は自由になった。しかし、2022年度にできなかった韓国調査が2023年にずれ込み、玉突きで2023年の調査予定が2024年にずれ込んだため、結果として、まだ完全に予定通りに進捗しているとは言えない。2024年度当初としては、課題期間の延長は判断せず、可能な限り年度内での課題完了を目標としている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は最終年度となる。そのため、インプットとともに、アウトプットにも重点を置くようにする。まず、今までの調査の結果は、10月に開催される世界韓国学大会(ハノイ。査読が通過した場合)において、概要を発表する予定である。さらに、今までの研究の結果明らかになった仮称「院路」の存在及びその分布原理について、一般化した理論とともに、最終の発表を12月に行う。12月の発表はカンファレンスのセッション形式として、日韓の研究者を本学に招聘して、4名の研究者による発表と討論の形式をとる。特に本研究では当初計画にあるように、分布のデータベース化が非常に重要であるので、GISを含めたデータベース化の方策も含めて、次の段階での共同研究も視野に入れて、文理融合の視角からも検討を行う場とする。そのため、このカンファレンスでは、日韓において交通史研究を計量的に行っている方を招聘する。もちろん、院宇の研究者も招聘する。 年明けからは総仕上げとなる論文の執筆を行い、日本又は韓国の学会誌に投稿する予定である。 一方インプットに関しては、上記の「院路」の事例を更に収集するため、慶尚南道と全羅道方面の院路を現地調査を行う。さらに、この間に関連する文献が韓国で少なからず発表されていることに鑑み、国会図書館を訪問し、外部非公開の最新の論文をコピーし、また書籍の購入を行う。これらは6月ごろをめどに1週間ほど出張を行い、実施する予定である。
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