視覚資料の空間表現に関する歴史地理学的研究―英語圏地理学の理論と東洋美術の節点
Project/Area Number |
22K01069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
長谷川 奨悟 佛教大学, 宗教文化ミュージアム, その他 (10727340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷崎 友紀 せとうち観光専門職短期大学, 観光振興学科, 助教 (60908888)
熊谷 貴史 佛教大学, 宗教文化ミュージアム, その他 (70719723)
網島 聖 佛教大学, 歴史学部, 准教授 (70760130)
阿部 美香 京都府立大学, 文学部, 特別研究員(RPD) (80806860)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 視覚資料 / 空間表現 / 物質性 / 歴史地理 / 東洋美術 / 風景写真 / 名所地誌本 / 曼荼羅 |
Outline of Research at the Start |
視覚資料に対して、近年の英語圏の歴史・文化地理学研究では、制作者の意図や、物質的要素をも重視した議論がみられるが、諸背景が異なる日本を含む東洋の事例を対象とする場合、その理論的枠組みを用いるには限界もある。 本研究は、東洋における視覚資料の空間表現が備える技術的・物理的問題に関して、英語圏地理学の理論的枠組みを応用しつつも、日本の歴史地理学と東洋美術史の立場から学際的に5つの視点において分析し、視覚資料の抱える社会的構築性との関わりを検討する。この作業を通じて日本の歴史地理学と美術史の研究視点や分析手法を併せ持ち、東洋の事例に対応できる理論的枠組みに関する議論を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年の英語圏における歴史・文化地理学研究では、地図や絵図、絵画資料、写真資料といった視覚資料に対して、制作者の意図や作品の構図、色彩といった物質的要素をも重視した議論がなされるようになった。これらは西洋世界の社会的文脈、および西洋美術史の概説的内容を基礎としている点において、諸背景が異なる日本を含む東洋の事例を対象とする場合、その理論的枠組みを用いるには限界もある。本研究は、東洋における視覚資料の空間表現が備える技術的・物理的問題に関して、英語圏地理学の理論的枠組みを応用しつつも、日本の歴史地理学と東洋美術史の研究者が学際的に協力し、5つの視点(A:絵画/絵図、B:写真、C:印刷、D:美術史学の研究視点、E:博物館展示)から分析し、視覚資料の抱える社会的構築性との関わりを検討する。この作業を通じて日本の歴史地理学と美術史の研究視点や分析手法を併せ持ち、東洋の事例に対応できる理論的枠組みに関する議論を進めることを目的とするものである。 本研究では、このように視覚資料にみられる空間表現が備える技術・物質的問題を多面的に検証するにあたり、2022年度および2023年度は、上記(A)から(D)の4つの研究視点に分かれ、各分担者が連携しつつ個別の事例に基づいた研究を進め、定期的な研究集会の開催を計画している。 本年度は、上記のように研究分担者がそれぞれの視点から資料調査と分析を進め、その成果は幾度かの研究集会を開催するなかで研究分担者間で共有した。本年度の研究成果としては、学術論文等の寄稿が3本、書籍への寄稿1本があげられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未だ収束をみない新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、2022年度は関連するテーマの研究分担者が集まっての展示視察等を目的とした京都府外への出張や、頻繁な研究集会の開催については計画の縮小、開催方法の変更を検討ながら進める必要があったことは否めない。その一方で、各研究分担者はそれぞれが担当するテーマに対して、学術書や図録等の収集、展示視察や現地調査をおこないながら研究を進めることができた。そのため、初年度でありながら、上記の視点(A)を中心に計3本の論稿を発表できたことから、概ね研究が推進しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、各研究分担者は2022年度に引き続き、各視点に立脚したそれぞれのテーマにおける研究視点や方法論等の整理分析を進め、そのうえで分析対象として有効と判断される対象の分析研究を進めることとし、各研究分担者の進捗状況とその成果は、定期的な開催を予定している研究集会の報告を通じて集約していく。 より具体的には、絵画、絵図にみる空間表現やその技法(視点A)では、行動文化のなかで生産された絵図史料や名所図会資料の空間的特徴に加え、作品の制作過程をも含みこんで作者や当時の利用者の空間的特徴を構成する場所や風景へのまなざしについて検証を進める。写真に観る空間表現やその技法(視点B)では、撮影者の視点と構図の関係性、撮影される場所性に対する検討を進めつつ、カメラやレンズの機能性が与える影響についても議論を進める。印刷をめぐる技法や空間表現(視点C)では、印刷の技法と空間表現の関わりの観点から、過去の絵図資料や風景絵葉書をめぐる空間表現の二次利用に関する分析を進めていく。そして、美術史学による空間表現へのアプローチ(視点D)では、佛教美術にみられる実在する場所の表現、異界/他界の表現、あるいは両者の重層性の検証を進める予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)
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[Book] 地理学事典2023
Author(s)
公益社団法人日本地理学会
Total Pages
842
Publisher
丸善出版
ISBN
9784621307939
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