Project/Area Number |
22K01073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 通弥 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (60192506)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 日常 / エブリデイ・ナショナリズム / バナル・ナショナリズム / 親子心中 / 自殺報道基準 / 家族 / 食 / 反モニュメンタリズム / 文化遺産化 / 生活文化 / 普通の人びと / 世相史 / バーナル・ナショナリズム |
Outline of Research at the Start |
〈日常〉という動態的概念は、有用ながらも多義的で捉えにくいことから、「食」と「家族」という具体的な研究実例を示すことで、その定着化を図るとともに、観光資源化や国家ブランド化に「動員」「回収」されやすい東アジア民俗学の構造的瑕疵を浮き上がらせ、修正することを目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナ流行のほぼ終息が確認された11月6日から11月20日の15日間、韓国ソウルに渡航し、現地調査として文書資料の収集と関係者のインタヴュー、およびニュース記事収集のための事前打ち合わせ(ネット環境に詳しい現地アルバイト学生と面談して予行演習)を行うほか、バナル・ナショナリズムの表われともいえる現地食堂の看板・店内装飾等の観察とその記録を採った。 1990年および2004年に韓国で試みた研究に合わせ、単数自殺と複数自殺(いわゆる親子心中を韓国では同伴自殺と呼ぶ)記事を収集し、日本の同種記事との比較のための素材とした。前回、前々回の収集は、新聞記事からであったが、ネットニュースの時代となり、同じ事件に対する報道件数(収集件数)は圧倒的に増大した。2023年12月から2024年2月の3カ月間、日韓のネット記事を収集したが、どう分析するかが鍵になる。その検討を行っている段階であり、詳しい分析結果は同種の収集を台湾でも行った上で公開する。 韓国の記事収集の過程において、2月の最終週にデータがほとんど現れなかったことから、その背後の事情を探査したところ、保健福祉部等の提唱する「自殺報道勧告基準3.0」が、3月から制裁付きで実施されることが判明した。2013年の「自殺報道勧告基準2.0」では「自殺」を「極端な選択」という語に置き換える等の指針が示されたが、3月以降は「極端な選択」のほか「同伴自殺」といった語も使用が禁止されることに至る。 これに対し、日本では2023年に「民放連放送基準」が示されたが、「心中・自殺は、古典または芸術作品であっても取り扱いを慎重にする」を、「自殺・心中は、たとえフィクションであっても取り扱いを慎重にする」に改めた程度であり、ネットニュースでは近松古典の上演記事のみならず、新刊の小説や漫画の情報に「心中」がかなりの頻度で散見され、極めて許容的である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
5月8日に新型コロナウィルスに対する海外渡航制限が解除されたものの、自粛ムードが夏まではまだ漂っていたこともあり、2回予定していた海外調査は1回にとどまった。 その理由として、現地調査(フィールドワーク)を、当初中国で行うことを計画していたが、「国家情報法」の制定のほか、2023年7月の「反スパイ法」の強化によって、その実施が危険で困難であることが明らかになってきた。さらに、それだけにとどまらず、自殺に関するネット記事の収集を中国人の知人研究者に依頼する予定であったが、これも累を及ぼす怖れが高いことが次第に判明してきたことから、中国での調査研究は、全面的に中止することを最終的に決断した。 また2月に国内での現地調査を予定していた遠野市小友の裸参りの視察は、コロナの後遺症なのか、中止となった2022年度とは違い、今回は実施されたものの、実施/中止の発表が直前となってからの公表だったため、対応ができず、訪れることは叶わなかった。遠野市小友を対象に選んだのは、反モニュメンタリズムの観点からであったが、同じ観点からの調査研究を可能にする調査地をほかにも見い出したので、とりあえず、それで対応することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していた中国での調査研究が断念せざるを得なかった分、政治体制等に大きな違いはあるものの、同じ漢族であることから、研究対象地を台湾に変更することにした。 なお、台湾において単数自殺・複数自殺に関するネット記事を収集するものの、予算の配分は申請額の3分の2未満であったため、フィールドワークは韓国に集中させた方が効率的ではないかという考えも浮かんでくることから、現地調査を台湾でも実施するか否かはまだ判断がつきかねている。 また、反モニュメンタリズムを検討するための、国内調査の場所として設定した、遠野市小友の代替あるいは追加として、神奈川県青葉区美しが丘地区の自治会および「街のはなし実行委員会」の調査を開始したのをはじめ、同様の観点から、東京豊島区上池袋の「探求→究する家」の視察も行うなど、いろいろな試みを務めている。
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