Project/Area Number |
22K01076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
関 恒樹 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 教授 (30346530)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | urban metabolism / 都市 / 災害 / 郊外化 / ジェントリフィケーション / マニラ首都圏 / フィリピン / グローバルサウス / 都市貧困 / 統治性 / パンデミック / 福祉 / ケア / 社会住宅 / 都市人類学 / 貧困 / 公共圏 / 市民社会 |
Outline of Research at the Start |
フィリピンのコロナとの闘いは、ドゥテルテ政権発足以来の麻薬との闘いとの連続上に捉えられねばならない。人、麻薬、ウイルスのコントロールと統治の手法である「懲罰的ポピュリズム」は、特に都市貧困層の間に「不透明な恐怖」を生み出し、隣人間に深刻な相互不信の亀裂を生じさせている。本研究が究明しようとするのは、このような相互不信と監視のなかで生じた亀裂と分断の中で、人々はいかなる社会性を紡ぎ出し、協働と連帯のつながりを拡張しようとしているのか、そのような社会性が家族、親族、コミュニティといった親密圏を超えて、より多様かつ広範な人々をつなぐ新たな公共性を持ち得るのか、これらの問いである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、コロナ禍と「麻薬との戦い」を経験したフィリピンの都市マニラにおいて新たに生まれつつある不確実性に注目しつつ、グローバルサウスの都市におけるリスク、統治、共同性について検討することを目的としている。その目的にそって、2年目にあたる本年度は、文献研究による問題把握のさらなる明確化と、短期の実地調査による情報収集につとめた。文献調査による視点の明確化としては、近年都市人類学・地理学や政治生態学にてさかんに論じられる「都市のメタボリズム(urban metabolism)」に注目する視点の有効性が明らかになった。この視点は、前年度(2022年11月)に開催された国際フィリピン研究会にて組織したパネル発表 "Cities in the Anthropocene: Beyond the urbanization as citizenship project"での討論を発展させる中で得られたものである。 「都市のメタボリズム」とは、都市の変容過程を、食物や自然資源(水、燃料、エネルギーなど)の供給と、それらの消費、廃棄、循環を可能にするインフラストラクチャー(モノ、技術、知識、制度などを含む)によって構成されるものとして捉える。そして、そのようなメタボリズムがいかなる政治や権力関係の下に生み出され、その過程で周縁化され不可視化される存在に焦点をあてる研究の蓄積が、近年著しい。 このような理論的視点の精緻化とともに、9月に10日間ほどマニラ首都圏を訪れ、上記都市メタボリズムの視点から、ジェントリフィケーションとスラム・クリアランスによる郊外空間の拡大、甚大化かつ頻発化する自然災害(特に台風、降雨による水害)による居住空間の再編などについて、住民組織、NGO、地方自治体などにおいてインタビューや資料収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査の時間はあまり取れなかったが、代わりに、文献調査に重点を置き、理論的視点の精緻化に努めることができた。最終年度の成果取りまとめにむけた準備期間としてはおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(2024年度)は、おもにフィリピンでの現地調査による資料収集、分析、論文執筆に重点をおく。年度末までに、研究ノートあるいは萌芽的な論文の形で、成果を公表する。
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