Project/Area Number |
22K01094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
分藤 大翼 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (70397579)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | 無文字社会 / 狩猟採集民 / 民話 / 映像制作 / 参加型映像制作 |
Outline of Research at the Start |
対象は、カメルーン共和国の熱帯雨林に居住する狩猟採集民Baka(バカ)とし、申請者が調査を通じて記録した民話の語りを視聴覚資料として開示することによって、人々の反応や語りを引き出す調査を実施する。また、新規に民話の撮影を実施し、民話という無形文化を活用可能な形で記録し保存する。そして、Bakaの人々とともに映像を視聴することを通じて、民話の意味や意義を探り、Baka社会における民話の現代的な意義と活用法を明らかにし、他の無文字社会にも適応可能な民話の研究法ならびに活用法を考案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象となるBakaという人々の社会は、文字のない社会であり、学校教育も普及していないため公用語であるフランス語の識字者も限られている。Bakaの民話についてはフランス語で出版された書籍が5冊あるものの、Bakaの人々によって活用できる資料とはなっていない。そもそも民話の語りとは、語り手によるパフォーマンスの側面が強く、口調や身振り手振り、周囲の人々の歌や反応をも含む文化実践である。そのような文化は文字による記録よりも映像による記録が適している。また、記録した映像を上映することによって、実際の語りの場に近い状況を再現することが可能となる。本研究では、そのような状況においてBakaの人々とともに、民話の現代的な解釈と活用法を探ることを目的としている。 本年度は、カメルーン共和国において民話の調査ならびに映像制作を実施した。民話の調査として、まず先住民組織(OKANI)の代表者と、これまでに撮影した民話の語りを視聴し、民話を翻訳し、その解釈について議論した。また関連する聞き取りと合わせて、2日間にわたって調査を共同で実施した。次に、調査集落において、民話の実施状況の聞き取りをおこない、さらに新規のテーマで16の民話を撮影・採集し、それらの民話についても聞き取りをおこなった。さらには民話の映像化を目的とした撮影を実施し、次年度以降の現地調査において実施する上映会に向けて必要な映像を得ることができた。本撮影に関しては、カメルーンの映像作家の協力を得ることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に実施することのできた現地調査において、これまでに採集した民話の翻訳や解釈をすすめることができた。また、調査集落において新規に多くの民話や関連する情報を得ることができた。また、調査集落における協力関係、先住民組織の代表者やカメルーンの映像作家との協働が実現したことにより、予定通りの成果があがっているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、本年度に実施した調査において有益な情報が多く得られたため、これまでの研究の成果を論文にすることを主な課題とする。特に、「嫉妬・妬み」をめぐる民話の収集や検討が進んでいることから、狩猟採集社会の平等性にかかわる情動(嫉妬・妬み)について成果をまとめる。また、撮影した映像の編集をおこない、次年度に実施を予定している上映を主とした現地調査の準備をすすめる。 令和7年度は、8月、9月にカメルーン共和国における調査を実施し、広域各地のBakaの集落において上映・調査をおこなうことで地域による民話の実践と受容の共通点や相違点を探る。また先住民組織や研究機関においても上映会を開催することを通じて、民話が現代の狩猟採集社会、無文字社会において、いかに受容されるのか、活用できるのかを明らかにする。
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