離婚手続時の養育プログラムの制度設計に関する政策提言-アジア地域における比較研究
Project/Area Number |
22K01108
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
清末 愛砂 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (00432427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 直子 愛知大学, 法学部, 教授 (00369612)
大川 謙蔵 摂南大学, 法学部, 准教授 (40582771)
伊藤 弘子 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (90340364)
梅澤 彩 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (90454347)
李 妍淑 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (90635129)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 離婚手続 / 養育費 / 養育プログラム / 国際比較 / 子どもの貧困 / 子の最善の利益 |
Outline of Research at the Start |
日本の協議離婚においては、子の養育に関する取決めは配偶者間の合意に依拠しているため、その内容に配偶者間の権力関係が反映される傾向がある。その結果、その合意が子の福祉に適っていない、あるいが元配偶者間の公平性があるとは言えないものであることが多々ある。本研究は、こうした問題を踏まえ、離婚法制の改革の必要性の見地から、日本と同じ社会的・文化的背景を有するアジア地域ですでに導入されている離婚時の養育プログラムを比較検討し、日本への導入に向けた政策提言をまとめることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、協議離婚が圧倒的に多い日本の現状に鑑みながら、養育費の未払いや支払いの遅延がたびたび指摘される状況を改善するための改革案を検討することを主たる目的としている。その方策の一つとして、離婚手続時の養育プログラムの受講制度の導入が考えられ、本研究ではその設計に向けて、日本と社会的および文化的類似性がみられる国々の制度を中心に比較検討を行ってきた。 近年の日本では、離婚後の共同親権制の導入をめぐり、大きな動きが見られた。具体的には、法制審議会(家族法制部会)での審議、法務省による中間試案(「家族法制の見直しに関する中間試案」)に対するパブリックコメントの募集、同審議会での「家族法制の見直しに関する要綱案」の取りまとめがなされ、2024年4月以降に「離婚後の共同親権・共同監護を実現する民法一部改正法案」の審議が始まった(2024年5月成立)。 2023年度は昨年度同様、①国内での立法議論を追いながら、養育プログラム制度設計の可能性、とりわけDVや児童虐待といったファミリー・バイオレンス問題を抱えるケースへの対応方法と親権・監護法制のあり方、面会交流の是非等を検討しながら、②本研究開始時に比較対象とした国々だけでなく、研究を遂行するなかであらたに対象とすべきと考えた国々の関連する制度についても検討を行った。 研究代表者と研究分担者が個別に日本を含む対象国の状況を検討し、全員が所属する「外国法制研究会」の月例研究会(オンライン)を通して、その結果を継続的に議論してきた。2023年度はその検討の充実化のために、ハワイ州(米国)での聞き取り調査も実施した。また、台湾や南アフリカの家族法の研究者との学術交流を通して情報交換を行い、南アフリカでの聞き取り調査(次年度)に向けた準備も行った。そのほか、弁護士等の実務家との勉強会や研究会にも参加し、実務面での情報交換も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開始当初に比較対象としていた国・地域(シンガポール、韓国、台湾)の離婚法制や親権・監護法制に限らず、ハワイ州(米国)や外国法制研究会が近年注目している南アフリカの法制度も確認し、国際比較の対象として議論を開始している。 当初から比較対象としてきた国・地域のうち、台湾の離婚法制に関しては、台北大学法学部の家族法の研究者を日本に招き、研究会を開いて詳細な報告をしていただいた。また、韓国に関しても、親子法律関係国際シンポジウムや新アジア家族法三国会議等への参加を通して、知見を深めている。シンガポール法については、すでに文献調査の積み重ねや現地の家族法研究者との交流を通して、一定以上の知見を得ている。これらにかんがみると、進捗状況としては適切に進展していると考えられる。 加えて、あらたに比較対象とした国々(ハワイ州、南アフリカ)の制度をより深く検討するために、文献研究にとどまらず、現地調査も実施した。ハワイ州(米国)で行った調査では、①家庭裁判所で実施されている離婚前の親と子どもへの教育プログラムである「Kids First」の見学、②DV事件の接見禁止命令手続の傍聴、③裁判官を含む関係者へのヒアリング等をしてきた。 また、南アフリカの家族法の研究者を招いて、日本と南アフリカの家事調停制度を比較検討する研究会(オンライン)も行ったほか、同研究者の日本での調査の同行を通して、同国の家事紛争の解決に向けた制度について有益な情報を得てきた。ただし、離婚法制と大きなかかわりがあるDV施策についての調査(文献調査を含む)とそれに基づく比較検討は現段階ではできておらず、次年度以降の課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
日本での離婚後の共同親権制に関する法改正を受け、海外の離婚前プログラムを調査する必要性が一層高まっている。それを踏まえ、今後も比較対象としている国・地域の法制度に関するさらなる調査(例えば、台湾の離婚手続における子の福祉と親教育のあり方の詳細とその効果、南アフリカのDV施策等)を行う。すでに、2025年2月にハワイ州で離婚前のプログラムについての追調査をすることが予定されている。また、台湾と韓国でも、離婚に際しての子どもの養育制度について、理論面だけでなく、実践面からも聞き取り調査を行う予定である。 また、これまで同様に、主にはオンラインを用いた月例の外国法制研究会等を通じて、それらの調査結果に関する検討会を行う。さらには、これらの国・地域から複数の報告者を招いての国際シンポジウムを開催する準備も徐々に始めていきたい。加えて、海外調査で得られた知見の分析結果を精査し、日本との比較を試みながら、研究誌等で中間発表の意味を含めて公表できるようにしたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(19 results)