Project/Area Number |
22K01109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樺島 博志 東北大学, 法学研究科, 教授 (00329905)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 法哲学 / アーレント / 正義論 / 義務論 / バルッツィ / 水俣病事件 / ヤスパース / 超越論 / Hannah Arendt / 精神史 / 実践理性 |
Outline of Research at the Start |
研究計画全体で,上述の近代精神史の全体像を,現代社会の精神史的状況として提示したうえで,現代義務論が可能であるとするならば,アーレントにより示されたvita contemplativa とvita activa という人間存在の在り方が,人間の共同存在不可欠の要素であることを提示する。研究計画2年目は,前年の口頭発表を基礎とした英語論文の公表と合わせて,台湾・高雄大学で開催予定の東アジア法哲学シンポジウムに参加し,現代国際社会の精神史的状況の全体像を内容とした口頭発表を行う。研究計画の最終年度は,口頭発表を基礎とした英語論文の公表と合わせて,引き続き国際学会に参加し,研究成果全体の発表を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究計画2年目である令和5年度の研究遂行計画にしたがい,研究成果をまとめ論文提出を行った。具体的には,ドイツ・ミュンヘン工科大学Wernecke博士らによる編著に,ドイツ語により,"Gesetz des Universums"というタイトルで寄稿することとした。当初は英語による論文公表を予定していたものの,研究協力機関であるミュンヘン工科大学における研究枠組が,クロアチア・ザグレブ大学との共同でドイツ語により行われていることから,このたびの論文公表はドイツ語によることとした。このほか,現代義務論の応用分野として,水俣病事件の新たな下級審裁判例にかんして,論文「病像論再々考 ― ノーモア・ミナマタ近畿訴訟第一審判決に寄せて」(東北ローレビュー Vol.12(2024)54-75頁)を公表した。なお,研究計画においては東アジア法哲学シンポジウムにて口頭発表を予定していたが,当国際シンポジウムは未開催であったために,国際学会における口頭発表の機会は得られなかった。研究計画3年目の研究遂行のために,2024年7月にソウルにて開催予定の国際法哲学・社会哲学会(IVR2024)において,ワークショップ(SW027)"Taking Philosophy Seriously in Law and Society - a philosophical talk session (Convenors: Hiroshi Kabashima, Christoph Luetge, Aurelio de Prada)を主催を準備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 本研究は,21世紀の精神史的状況において,究極的には,義務論の成立可能性の条件の探求を目指しながら,具体的には,ギリシア以来の古典哲学の伝統に立脚 しつつ,ドイツ観念論と実存論を踏襲したH.アーレントの哲学的企図を手がかりとして,人間存在の規範的理念を提示することを目標とする。本年度の研究成果 は,研究実績の概要に記載の通り,国際共著に研究成果の論文を提出したことを中心とする。 この研究成果の意義は,ミュンヘン工科大学とザグレブ大学を中心とした国際研究協力に参画し,時間と空間という哲学における基礎概念の解明から出発し,ギリシア・キリスト教文明を背景とする西洋哲学と,仏教文明を背景とする東洋哲学との架橋を試みることにより,現在のグローバル化した人類社会における普遍的な規範的基礎を構想した点に存する。さらに,日本語による公表論文においては,水俣病事件が発生から70年近く経つ今日なお裁判闘争が継続している現状に視野を広げることにより,現代義務論の超越論的基礎が,現実社会の問題解明にいかに寄与することができるかを示すことができたと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画3年目であり最終年度の2024年は,国際共同研究を進めるとしていたところ,ソウルで開催されるIVR2024において,ワークショップ(SW027)"Taking Philosophy Seriously in Law and Society - a philosophical talk session (Convenors: Hiroshi Kabashima, Christoph Luetge, Aurelio de Prada)を主催することとし,そのなかで,口頭発表Kabashima, H.: "Gegenwart und Ewigkeit, das Nichts und das Ganze – eine philosophische Brücke zwischen West und Ost, H. Arendt und K. Nishida"を行う予定としている。現在,共同研究者のLuetge教授,de Prada教授等とともに,国際共著の出版を計画しており,そのなかでの論文公表を行う予定である。あわせて,当初の研究計画のとおり,日本語での論文発表も進める予定である。こうした研究活動により,本研究計画の目的として掲げたとおり,法哲学・正義論における国際共同研究プロジェクトを推進し,国際的な研究成果の交流と討論を通じて,グローバル社会における普遍的な規範的基礎の構想に参与し貢献することとしたい。
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