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旧東ドイツ法における法的紛争解決の法史学的分析と評価

Research Project

Project/Area Number 22K01110
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 05010:Legal theory and history-related
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

西川 洋一  東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 名誉教授 (00114596)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Keywordsドイツ民主共和国 / 民事訴訟法 / 紛争解決 / 法制史
Outline of Research at the Start

ドイツ民主共和国は、長く深いドイツ法の伝統という土壌のもとで、それとは大きく異る、マルクス・レーニン主義とソヴィエト連邦の法という模範に基づいた、極めて理論的な性格の強い法体制を築き上げることを試み、結局はそれに失敗した。本研究は、紛争解決の理論と実践の解明という角度から同国の法のあり方を明らかにするとともに、それを通じて、われわれが守らねばならない「市民的」法秩序の特徴について考究を深めようとするものである。

Outline of Annual Research Achievements

民事訴訟法に関する論文を検討すると、1949年までのソヴィエト軍政下の時代は、1933年以前の市民的な民訴法学に接続する方向の叙述が多かった。社会主義的法体制の建設を公に宣言し、ソヴィエト法の影響を受けた裁判所構成法や刑事訴訟法が成立した1952年以後も民事訴訟の諸原則に関する学問的取り組みは少なく、本格的な研究が現れるのは1954/55年頃からである。組織的研究の成果として1957/58年に刊行された概説書においては、民訴法の原則として客観的真実の探求が最上位に置かれ弁論主義には否定的な態度が見られるものの、維持されていた古い法文尊重の実証主義的態度は依然顕著であり、この時代のDDR法学の折衷的性格を示す。
転機となったのは1957/8年の修正主義批判の嵐に伴う法学批判の動きであり、SED指導部が、法と法学からの市民的残滓の一掃、社会主義的法体制と司法体制の構築、労働者・勤労者の法的プロセスへのより広範な参加、法による社会主義的モラルの向上を強く求め、司法省、学界は対応を余儀なくされた。
民事訴訟法の制定においては制定委員会への参審員の積極的参加の他、事業所等での「勤労者の参加」が重視されたが、報告書類を見る限り、彼らが規定の方針に対して強く賛意を示したことが強調されるにとどまり、勤労者の参加はアジテーション・プロパガンダの手段であったことを想定させる。これに対して制定委員会の審議においては、ソヴィエト法の影響下で裁判所構成法に導入されてはいたものの実際の運用については明確な方針が定まっていなかった「民事訴訟の教育的任務」に関する議論を見ると、婚姻事件での適用の可否や社会主義法では排斥される「自発性」を惹起する可能性等、実質的議論がなされていが明確な方向は打ち出すに至らなかった。また実務においても「社会的教育」の実施における混乱が問題として認識されていた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

文献調査に関しては、東京大学に主要な雑誌と概説書が完備されているので効率よく調査を進めることができた。
ベルリンで比較的長期間の資料調査を行なうことができたため、重要な資・史料を収集分析することができた。特に1958年から60年にかけての民事訴訟法典編纂作業に関する大量の文書、また同時期に司法省が命じた「民事訴訟による社会的教育」にかかる文書は、当時の司法省、裁判所、学界における民事手続に関する考え方を伝えており、すでにその一部の調査によって少なからぬ新しい知見を得ることができた。

Strategy for Future Research Activity

ドイツ民主共和国における民事訴訟の基本的役割の一つとしての「教育的任務」についてはほぼ分析を終え、その一部の発表作業が済んだので、この問題に関する原稿を完成するとともに、今後はより細かい具体的制度に関する議論の中で、民事訴訟の諸原理を社会主義社会に適合させていくために考えられていた方策とその際に認識されていた問題点について検討を進める。とくに少なくとも外面的には廃棄された弁論主義とは異なり、原則的には維持せざるを得なかった処分権主義に関する学者巻、あるいは実務家と学者の間の考え方の違い、証拠調べにおけるタテマエとしての職権主義と実務上の困難さという矛盾の解決等、SEDの圧力下で社会主義法構築という任務を課された法学者たちが、近代民事訴訟法の基本的な性格をどのように変革しようとしたのかという問題に力点を置く。

Report

(2 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Research-status Report
  • Research Products

    (1 results)

All 2024

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] ドイツ民主共和国における「民事訴訟の教育的任務」-1958-60年の議論を中心として(1)2024

    • Author(s)
      西川洋一
    • Journal Title

      国家学会雑誌

      Volume: 137

    • Related Report
      2023 Research-status Report

URL: 

Published: 2022-04-19   Modified: 2024-12-25  

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