Project/Area Number |
22K01129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
藤川 直樹 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (00632225)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ラーバント / 公法学 / ローマ法 / 公法史 / 法制史 |
Outline of Research at the Start |
第二帝政期を代表するドイツの法学者パウル・ラーバントについては彼の法学方法論や公法学の解釈論に関して既に多くの研究が蓄積されてきたが、連邦文書館所蔵のラーバント遺文集に含まれる膨大な数の書簡史料や鑑定意見書を用いた個人史的研究は十分に行われていない。本研究では、未公刊の書簡史料や鑑定意見書を用いた個人史的な手法によって、広汎な領域に及ぶラーバントの学問を、学問政策や政治実践、法的助言などの観点を取り入れながら再構成することを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は遍歴期ラーバントの学問形成の検討に充てることを目的に以下の研究を実施した。 まず、主要な課題として予定した連邦文書館ベルリーン分館所蔵のラーバント関連文書に残存する両親宛ての書翰の翻刻・検討を進めた。この作業により、初期ラーバントがローマ法学者のファンゲロウを始め、ツェプフル、モール、ルノー、ゴルトシュミットとの私的および学術的交流のもとに自己形成したことが確認されるともに、各人物の講義に対する概略的な評価が明らかとなった。また、当該簿冊にはライプツィヒ大学のゲルマニスト、アルブレヒトの書翰が残存しているが、関連するラーバントの書翰からは彼がライプツィヒで教授資格の取得を目指すことも有力な選択肢であったこと、かつそれが父の希望でもあったことが判明した。このことは既にシュトルアイスによって明らかにされたようなラーバント父世代のユダヤ系知識人階層におけるリベラルな志向を伝え、ラーバント理解の有力な補助線を提供する。 上記と並行して、初期ラーバントの学問業績の検討を進めた。特に船荷証券や仲買に関する論攷はローマ法学とドイツ法学を越境的に検討する巧みな法律構成の力量を示しており、これまで指摘されてきたイェーリングの法学方法論の順接的受容が確認された。更に、取戻権に関する論攷からは公法/私法の越境が、通常指摘されるような一方的な転用ではなく、寧ろ双方向的なものであったことが明らかとなった。このことは公法学者ラーバントのその後の発展を観察するに際して、その都度の商法分野の論攷とセットで検討することの必要性を強く示唆するものである。その他、中世盛期以降の法書の校訂作業について検討を行ったが、これについては現状で十分な知見を獲得するに至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度は概ね当初計画に従って必要な文献資料を検討してきたが、それに伴って、当初課題を遂行するために必要となる新たな課題が浮かび上がってきたためである。第一は、1850年から60年代にかけてのローマ私法学の動向(及びドイツ法学側の照応)について一定の展望を得ることである。初期ラーバントの学問形成に大きな意味を持つことが予想されるファンゲロウとイェーリングについては本課題の当初予定も織り込んでいたが、研究の進展により、ラーバントの学問形成の方向性をあり得た選択肢との関係で明らかにするためには、当初予定を超えて全体的な展望を獲得することが不可欠であるという認識に至った。第二は、当時の法制史学におけるテクスト批判に関する議論状況について調査することである。これはラーバントの初期の法制史的業績の関心が、本課題の当初の想定を超えて、主として史料の校訂に向けられていたためにその必要性が生じたものである。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初計画に従って、ドイツの各文書館所蔵資料の収集・検討を進め、ラーバントの法学(学問政策・政治実践を含む)の再構成を目指す。令和4年度の研究において発見された課題は、実施計画上令和7年度に配当された作業予定に含まれる性質のものであるが、当初見込んだ作業量を超えるものであるので、当面、作業を前倒しして、令和5年度より並行して検討を開始することで対応する。
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