行政過程におけるデジタル情報技術の使用と行政法総論の双方向的考察
Project/Area Number |
22K01133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 隆司 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70210573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 智彦 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 准教授 (10609126)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | デジタル情報技術 / 行政法総論 / 行政組織 / 公私協働 / 私行政法 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、行政過程におけるデジタル情報技術の使用と行政法総論との間の双方向的な考察を行う。すなわち、行政過程における同技術の使用を、行政法総論に照らして規律する一方で、行政法総論を再考する素材にする。研究では、行政法総論の主要領域として、(a)行政手続(行政判断におけるアルゴリズムの使用)、(b)行政上の行為形式・実効性確保(情報による行政作用、ナッジ等の位置づけ)、(c)行政調査(ビッグデータ処理を含む情報技術への対応)、(d)行政組織(専門機関の設置と事務・責任の範囲の問題)、(e)公私協働・私行政法(デジタルプラットフォーマーの自主規制の国による規律)を取り上げる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、行政過程におけるデジタル情報技術の使用と行政法総論との間の双方向的な考察を行うものであるところ、具体的な領域として、(a)行政手続、(b)行政上の行為形式・実効性確保、(c)行政調査、(d)行政組織、(e)公私協働・私行政法などを取り上げる予定である。本研究の初年度に当たる2022年度は、いずれの領域についても、問題・課題・論点の探索と基礎的な資料の収集に努めた。他方で、具体的な成果も複数挙げることができた。(a)行政手続、(b)行政上の行為形式・実効性確保、(c)行政調査について、「図書」欄記載の山本の著作2点がある。ミクロレベルの行政手続に関して、人による判断の要素とアルゴリズムによる判断の要素との関係を、論証とコミュニケーションという観点から整理・分析し、また、ナッジについて、公益に関するマクロレベルの決定手続における論証と議論という、行政上の行為形式論の基礎に遡って考察したものである。さらに、行政法総論の観点から公益通報者保護法を考察する研究は、従来少なかったところ、このテーマに関して包括的な分析を行うこともできた。(d)行政組織、 (e)公私協働・私行政法については、「雑誌論文」欄記載の巽の著作4点、「学会発表」欄記載の巽の著作1点がある。これらの業績は、いずれも、公益通報、電気通信、個人情報保護、プラットフォームビジネス規制といった、デジタル情報技術に密接にかかわる法制度ないし法分野の各論的な分析から、行政法総論への示唆を抽出し、また逆に行政法総論の観点から各論分野を秩序付ける、双方向的な考察を行ったものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この間、5(a)ないし(e)にいずれの領域についても、問題・課題・論点の探索と基礎的な資料の収集に努めており、その過程で、関連する問題について知見を有する研究者との意見交換を行い、次年度以降の研究の方向性に関する示唆を得た。具体的には、2022年1月に、飯田森氏(中央大学)とドイツにおける行政行為の完全自動化法制について、同3月にJeroen Maesschalck 教授(ルーヴェン大学)とデジタル技術の使用による警察の正統性の変化について、またJohannes Buchheim教授(Marburg大学法学部公法・デジタル化の法講座)と行政法におけるアクチオ思考について、それぞれ意見交換の機会をもった。他方で、本年度は新型コロナウイルス感染症の影響が未だ失われず、またロシア・ウクライナ間の戦争の影響により、研究代表者・分担者が主として研究対象としているドイツないしヨーロッパに渡航する見通しが立たず、海外所在の資料の探索や海外の研究者との交流については、次期以降にさらなる展開を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
この間、5(a)ないし(e)にいずれの領域についても、問題・課題・論点の探索と基礎的な資料の収集に努め、次年度以降の研究の方向性に関する示唆を得ており、今後はそれを具体的に考察して、さらなる研究の拡がりを予定している。すなわち、(a)行政手続、(b)行政上の行為形式・実効性確保、(c)行政調査については、行政によるAIの利用や、逆に民間で利用されるAIの行政による規制について、一方で電気通信、個人情報保護、プラットフォームビジネス規制といった、デジタル情報技術に密接にかかわる法制度ないし法分野の各論的な分析から、他方でドイツ法・ヨーロッパ法をはじめとする比較法的な分析から、考察すべき問題を明確化していく。また、(d)行政組織や(e)公私協働・私行政法の領域についても、個人情報保護、プラットフォームビジネス規制といった各論分野における「共同規制」と呼ばれる潮流や、ドイツ法・ヨーロッパ法におけるその現れなどを考察し、具体的な研究成果に結びつけていく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)