所得相応性基準に関する日米比較法研究を素材とした知的財産権の評価基準の構築
Project/Area Number |
22K01143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
谷口 智紀 専修大学, 法学部, 教授 (50634432)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 租税法 / 国際租税法 / 移転価格税制 / 国際課税 / 所得相応性基準 / 知的財産権取引 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、知的財産権の固有性を評価に反映しつつも、その評価に合理性と客観性を持たせた評価基準を提示することを目指す。知的財産権の評価の適正性を歪める納税者と租税行政庁の恣意性を排除する仕組みを構築することが、本研究の到達点となる。 内国内入法典482条の適用が争われた判例法を整理、検討することにより、判例法理がいかに確立したかを明らかにし、そして、判例法理が法令化される過程を通して、知的財産権の評価基準がいかに明確化、精緻化されたかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、わが国の知的財産権の体系的な評価手法を構築すること、具体的には、課税の公平を実現しつつ、納税者の予測可能性の視点も重視する評価基準は何かを明らかにすることにある。令和4年度の研究実施計画は、租税法の理論と実務の両面からのアプローチして、知的財産権の評価の問題をめぐるわが国の議論を整理、検討することであった。 そこで、主たる研究としては、利益分割法の一つである残余利益分割法を用いた独立企業間価格の算定の適否が争点とされたいわゆるホンダ事件の東京地裁平成26年8月28日判決の検討を通して、残余利益分割法の計算方法のうち、その計算過程における比較可能性と差異調整に係る問題点を明らかにした。 その研究の成果としては、独立企業間価格の算定方法をめぐる残余利益分割法にはいくつかの課題があることを明らかにすることができた。その課題の一つが、残余利益分割法における基本的利益と残余利益の区別、すなわち、いかに無形資産を特定すべきか、そして、当該無形資産の価値をいかに評価すべきかという問題である。無形資産取引から生じる利益は何か、具体的には、誰が、そして何によって利益が生み出されたのかを特定するための基準を明らかにすることが必要である。 また、各国間で合意された新しい国際課税ルールの枠組み、とりわけ、Amount A(利益A)に対する課税は、残余利益分割法の計算方法を類似したものであるが、現在の国際課税ルールである残余利益分割法と、新しい国際課税ルールをそれぞれいかに位置づけるべきか、また両者に共通する問題点、それぞれの計算方法に特有の問題点を整理することも、基準の明確化のための課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は当初の研究実施計画にしたがって行われている。 特記すべき点としては、知的財産権取引から生じる経済的利益をいかに正確に補足していくかは難しい問題であるが、これに関連して同種の問題が生じているシェアリングエコノミー取引をめぐる課税問題も研究の対象としていることにある。 シェアリングエコノミーの取引に係る適正な課税関係を構築するにあたっては、課税要件事実の認定の前提となる私法上の法律関係を明らかにするための証拠が不足している場合が少なくない。研究代表者は、シェアリングエコノミー取引の課税問題を所得の帰属を適正に認定する事実認定の問題として位置づけているが、この考え方は、知的財産権の体系的な評価手法を構築する際に参考になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカ租税法との比較法研究に示唆を得て、納税者の予測可能性を確保するとともに、知的財産権の評価の適正性を担保するための評価基準を具体的に提示するという本研究の目的を達成するために、令和5年度は当初の研究実施計画にしたがって、アメリカの内国歳入法典482条の解釈・適用の問題を掘り下げて研究する。具体的には、同条の適用が争われた判例法を整理、検討することにより、判例法理がいかに生成されてきたかを明らかにする。 同年度では、アメリカでの現地調査(文献調査およびインタビュー調査)を実施する予定である。同条の適用をめぐる判例法を整理、検討し、判例法理の生成過程を明らかにするとともに、納税者の権利保護、とりわけ、納税者の予測可能性を重視する中で、判例法理が財務省規則などで法令化されることにより、知的財産権の評価がいかに解決されているかを検討する。また、わが国における議論についても文献調査を引き続き実施し、内容のアップデートを行う。 同条に対する判例法理、そして判例法理の法令化による法的統制がいかになされているかを明らかにし、あわせて両者がいかに使い分けられているかも明らかにすることが同年度の具体的な目標となる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)