Project/Area Number |
22K01151
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 健太郎 東北大学, 法学研究科, 准教授 (80802652)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 独立当事者間基準 / 法人税法22条2項 / 移転価格税制 / 課税権配分 / 付加価値税 / 価格決定 / 国際課税 / 課税権 / 租税回避 / 法学方法論 / 田中耕太郎 |
Outline of Research at the Start |
国際的な企業グループに対する課税は、独立企業原則と企業グループの各構成企業間の独立当事者間基準を根幹としており、それらを実定的に支える制度の一つが移転価格税制である。本研究は、移転価格税制の果たすべき役割と他の制度に委ねるべき役割とを具体的に腑分けすることによって、法学の観点から国際的な企業グループに対する課税について包括的な検討を行うものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度における研究実績は大きく分類して二つの柱からなる。 第一の柱として、法人税法22条2項を素材とする独立当事者間基準(arm's length principle)の機能的分析とその延長線上の問題としての移転価格税制への示唆である。日本法において、この分野の先駆的研究として金子宏の研究があり、いわゆる「適正所得算出説」が提唱された。この金子説は、賛否はあれども、学界に大きな影響を与えた。そこで、金子説を批判的に検討しつつ、現代の取引社会に則したかたちで再構成するべく研究を行った。具体的には、課税における会社法秩序の尊重を掲げる中里実の所説を参照しつつ、かつ、さらなる補助線としてフランスの法規整の分析を行うことで、租税法が企業の価格決定に介入することの限界について考察を深めた。なお、研究成果については、論文として公表するべく作業中である。 第二の柱として、移転価格税制の中心的機能の一つをして言われるところの課税権配分の論点を考察するべく、EUの付加価値税についての基礎的な研究を行った。付加価値税は、所得課税と異なり、基本的に取引価格に介入する装備を有さないものではあるが、逆にいえば、取引価格に介入せずとも合理的な国家間課税権配分を追求するために、如何なる知的営為がなされてきたかを分析することは、移転価格税制の機能を批判的に精査する契機となるともいえる。具体的には、欧州司法裁判所の判例法理の系譜を探索し、その内在的発展のありようを研究することによって、この問題を考察した。なお、研究成果は、論文としてまとめているが、公刊は遅れている模様である。 その他として、いわゆる「BEPS2.0」の問題について、その理論史上の意義を探究する研究も付随的に行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は、「やや遅れている」との自己点検結果であったが、その遅れは取り戻すことができたと思われる。本年度は、前年度の反省を踏まえて、内外の先行研究を広く探索することに努め、現在の研究状況の水準について分析を行うとともに、自己の考察を深めることができた。特に本年度は当初から、①会社法学の知見を活かした独立当事者間基準の機能的分析を行うこと、及び②付加価値税との比較分析を踏まえた移転価格税制の機能分析を中心的課題に据えていたが、これらについて、一定の研究が進んだといえる(詳細は、「研究実績の概要」に記した通り。)なお、論文そのものを公表することはできなかったが、多分に媒体の公刊時期の問題にも関係しているものであり、そのこと自体が研究の遅延を意味するものではないということをご理解いただきたい。 システム論などの法社会学の知見を活かした国際課税の規範形成のメカニズムについては、まだ十分に研究が進捗しているとはいえないが、資料収集はかなり進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、昨年度中に提出した論文原稿について校正作業を行い、公刊を目指す。これが喫緊の作業である。次いで、独立当事者間基準の機能的分析については更なる深化を目指す。具体的には、会社法における組織再編の局面での公正を確保するための諸装置と対照しつつ、独立当事者間基準という考え方を今後どのように活用していくべきか否かについて考察を行う。また、国際課税原則の改革という論点については、その歴史的変遷を踏まえて、今後の方向性について一定の見通しを得るように努めたい。
|