Project/Area Number |
22K01160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡邊 賢 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (50201231)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 公務員の勤務条件 / 委任禁止原則 / 公務員法 / 生活保障法 / 憲法 / 行政法 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、委任禁止原則の観点からすると公務員の団体交渉における仲裁制度にどのような規律が発生するかについて、アメリカ合衆国を比較法の対象国としつつ、理論的研究を行うと同時に、将来公務員の労使関係制度において協約締結権付き団体交渉制度が導入されると仮定した際に必ず問題となる仲裁裁定制度のあり方を探るという実践的意図を持つものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度においては、令和4年度に引き続き、合衆国における委任禁止原則の展開に関する研究を進めるとともに、合衆国の各州において公務員組合と地方政府との間でもうけられている仲裁裁定制度の研究に着手した。令和5年度において集中的に分析したのは、カリフォルニア州における仲裁裁定をめぐる法制度に関する研究である。カリフォルニア州においては、公務員の労働条件に関する協定の締結をめぐる労使間の紛争が当事者間での決着を見なかった場合に備えて、調停(mediation)、事実確定手続(fact-finding)及び仲裁(arbitration)の各種手続が設けられているところ、各手続の内容、その効果について研究を行った。 同時に、カリフォルニア州においては仲裁制度をめぐってその憲法適合性に関する紛争が発生しており、州最高裁判所においていくつかの判決が出されている。代表的な判例を二件のみ挙げると、協約自体を裁定の対象とする強制仲裁制度についてはBargley v.City of Manhattan Beach,18 Cal.3d 22(1976)が違憲としつつ、協約の適用に係る紛争を解決するための苦情処理仲裁制度についてはTaylor v.Crane,24 Cal.3d 442(1979)が委任禁止原則との関係で不適切な権限の委任の問題なしとした。令和5年度においては、これら二つの判決を中心に、当該論点をめぐるカリフォルニア州の裁判例を改めて読み直し、他方で、連邦レベルでの委任禁止原則の展開も研究し直した上で、連邦レベル・カリフォルニア州レベルの委任禁止原則との関係での当該判決の位置づけや学説における評価の分析の検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度において行った、カリフォルニア州においては、公務員の労働条件に関する協定の締結をめぐる労使間の紛争が当事者間での決着を見なかった場合に備えて、調停(mediation)、事実確定手続(fact-finding)及び仲裁(arbitration)の各種手続が設けられているところ、各手続の内容、その効果に関する法制度についての研究、及び、カリフォルニア州における強制仲裁制度の憲法適合性と委任禁止原則との関係に関する判例・学説の分析は、令和6年度において予定している、カリフォルニア州における現地調査の前提をなすものである。 すなわち、現地調査においては、上記の各種手続が実際どのように機能しているのかを、カリフォルニア大学バークレー校に設置されているCalifornia Public Employee Relations Program, Institute of Industrial Relationsに所属する研究者等にインタビューすることを予定しているところ、その不可欠な前提となる研究として重要な意義を有するものである。また、上記判決が有する実務上の意義についても現地調査において問うことを予定しており、その前提として、判決の理論的位置づけを明確にしておくことも重要な研究上の前提をなしている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度に当たる令和6年度においては、①引き続き、合衆国及びカリフォルニア州における委任禁止原則の展開を掘り下げること、その際、連邦行政法レベルにおける委任禁止原則の展開とカリフォルニア州におけるそれとの移動をできる限り明確化することに心がけること、②各州における公務員と使用者をめぐる労使紛争における仲裁裁定制度の全体をできる限り明らかにすると同時に、それとの関係でカリフォルニア州における制度の特徴を浮き彫りにすること、③以上を踏まえて、委任禁止原則の観点からすると公務員の団体交渉制度における仲裁制度にどのような規律が発生しうるかを分析検討すること、を研究目的として、上記の各点について研究を推進する。 具体的な方策としては、これまで文献を用いた研究が中心であったところ、令和6年度においては、カリフォルニア州での現地調査(具体的にはカリフォルニア大学バークレー校に設置されているCalifornia Public Employee Relations Program, Institute of Industrial Relationsに所属する研究者等にインタビュー。できればカリフォルニア州政府に勤務する労使関係担当職員とサンフランシスコ市に勤務する労使関係担当職員へのインタビュー)を行うことを予定を予定している。
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