Project/Area Number |
22K01187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05040:Social law-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
国京 則幸 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (10303520)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 社会的処方 / 健康の社会的要因 / 地域包括ケアシステム / リンクワーカー |
Outline of Research at the Start |
イギリスで展開されてきている「社会的処方」とは、医療において「健康の社会的決定要因(SDH:Social Determinations of Health)」をより重視し、個人の健康・幸福(wellbeing)の実現、傷病の予防・治療・回復のために、患者のニーズと判断に基づき、地域における様々な社会資源(団体や活動)へと繋げていくこと、とされる。本研究は、この「社会的処方」の概念と実践について、法的視点で、①そのしくみ・実践内容および意義、②実施条件、とりわけその担い手(職者)の可能性、③効果と今後の展開、について調査研究を行い、④日本的な「社会的処方」のあり方を検討するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、「社会的処方」の概念および、とりわけイギリスでのしくみの大枠を把握し、また、その意義について理解を深めることに努めた。そのために渡英し、聞き取りなどを行う予備的調査を実施した。また、日本での議論状況についても資料収集等を行いつつ、現在の議論の到達点を確認した。 「社会的処方」は、①健康の社会的要因(SDH)に着目する点、②生活者の身近な地域に存在する社会的資源(公的・民間にかかわらず)と結びつける点、③この際、しばしばリンクワーカーといわれる、医師以外の(職)者が重要な役割を果たしている点、などを特徴としながら、現在、日本やそのほかの国々でも取り組みが進んできている。しかし、その具体的なあり方やその意義、評価については、特にその国の医療、福祉制度とのかかわりで異なっている。イギリスでは、この「社会的処方」は、医療の大きな流れである「普遍的個人ケア」(サービスの利用において、個人が自ら選択しコントロールできることを指向する)の一つの重要な要素として位置づけられており、医療保障制度としてのNHSの下でGPが起点となるモデルが中心的となっている(ただしそれ以外のタイプもあり)。これは、利用者との関係では、健康やウェルビーイングを向上させるものとされるとともに、供給体制との関係では、GPの(一定の)業務負担軽減や医療費の効率化に資するものとされている。ただし、政府の文書をはじめ各所において「社会的処方」の推進が強調されているものの、一般市民の認知や社会への浸透という点では、現在までのところ、取り上げられているほど浸透しているわけではないということも、今回の予備的調査で分かった。 他方、日本でも「社会的処方」の実践が行われ、その報告書などがすでにまとめられている。また、この制度化に向けた議論(批判)も一定行われていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イギリスでは、政府や担当省庁・関係機関のHPにおいて「社会的処方」の意義を説く数多くの資料が掲載されており、その概念やしくみの概要、そしてこれを後押ししている政策的意図などもおおむね把握することができた。そして「社会的処方」それ自体は、制定法等に基づく制度というわけではなく、「取り組み」とでもいうべきものであることも理解した。また日本でも、イギリスでの調査や日本での「社会的処方」の取り組み事例に関する一定の詳細な研究報告書がとりまとめられていることも明らかになった。 このような状況から、「社会的処方」が盛り上がりを見せ、かなり浸透して、各種資料を容易に入手できるのではないか、と考えていたところ、当年度実施した現地での予備的調査においては、イギリスにおいて、一般市民レベルでは「社会的処方」それ自体を必ずしも十分に認知している状況ではないこともうかがわれた。このような点から、本年度予定していた計画のうち、概念的な把握や(資料等で報告されている限りでの)具体的な事例の把握は一定程度行うことができたが、社会実態的状況を踏まえた「社会的処方」の把握・理解という点においては若干の軌道修正を行う必要が出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、引き続き、「社会的処方」についての具体的事例の収集を行っていく。その際、当年度理解を深めたしくみを前提に、その過程にも目を向け、それぞれGPの作用、リンクワーカー、社会的資源といった各要素に着目・整理をしながら進めていく。また、渡英し、現地での状況、特に一般市民の理解について、あらためて調査を進めていくこととし、政策文書等でいわれていることと社会実態的状況のバランスを確認していく。 他方、新たな具体的論点として、イギリスにおける伝統的なそして福祉の領域にかかる「ソーシャルワーク」との異同について研究を進めていく。
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