Project/Area Number |
22K01226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内田 千秋 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (40386529)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 会社法 / 成年後見 / 未成年後見 / 商人の営業能力 / 無限責任社員 / 商業登記 / 商法 / フランス / 成年後見制度 / 未成年者 / 商人 / 営業能力 / 支配人 / 持分会社 / 株主 / 判断能力不十分者 / 議決権 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、判断能力不十分者(意思無能力者、未成年者、被後見人、被保佐人、被補助人および任意後見契約が発効した場合の本人を総称して、以下、「判断能力不十分者」という)の会社法上の行為について、会社法と民法の最新の議論状況を踏まえつつ、両者の整合的な解釈を構築するために、包括的・体系的な検討を行うことにある。この検討を通じて会社法に関する新たな解釈論を提示することに重点を置くが、現行法の解釈論のみでは対応が困難な課題については立法論的な政策提言を行うことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、判断能力不十分者(意思無能力者、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人および任意後見契約が発効した場合の本人を総称して、以下、「判断能力不十分者」という)の会社法上の行為について、会社法と民法の最新の議論状況を踏まえつつ、両者の整合的な解釈を構築するために、包括的・体系的な検討を行うことにある。 前年度に引き続き、本年度は、判断能力不十分者が商人となることができるかの問題(商人の営業能力)と、判断能力不十分者が持分会社の無限責任社員となることができるかの問題に焦点を当てて日本法の検討を行った。この検討を踏まえて、早稲田大学の東京商事法研究会において①「商人の営業能力」と題する研究会報告を行った。同研究会報告では、公益社団法人商事法務研究会「成年後見制度の在り方に関する研究会」での議論状況も踏まえつつ、現行法のもとでの解釈論を提示した。 本年度はまた、研究会等を通じて判断能力不十分者の支援者と意見交換を行うほか、支援者へのヒアリング調査も行った(知多権利擁護支援センター、後見実務に携わる弁護士、高齢者等向けの決済ビジネスのスタートアップ企業)。2023韓日高齢者・障害者権利擁護大会にも参加し、障害者権利条約12条に関する理解も深めた。 本年度はこのほか、以前の科研費の研究課題(基盤研究(C)、17K03454、「自由職業と会社法の交錯ーフランス法の検討からー」、研究代表者:内田千秋)に関連して、②翻訳(内田千秋「(翻訳)規制自由業専門職の会社での実施に関する2023年2月8日のオルドナンス第77号」法政理論56巻1号(2023)142-186頁)を公表した。③日本監査研究学会課題別研究部会「公認会計士法の省察と革新」に所属している関係で、同研究部会が同学会全国大会に提出した中間報告書の「第10章 フランス」(119-147頁)の執筆を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
商人の営業能力等に関する研究では、a明治時代の旧民法典・旧商法典の制定時、b明治時代の新民法典・新商法典の制定以降、c戦後の家族法改革以降、d平成11年の成年後見制度の導入以降の4つの時期に区分して、文献調査を行った。民法の側面では、禁治産・准禁治産制度及び成年後見制度について、関連する手続法も含めて制度内容及び議論状況の変遷に関する理解を深めることができた。「成年後見制度の在り方に関する研究会」の議事録及び令和6年2月に公表された同研究会の報告書等から、最新の議論状況もフォローアップすることができた。商法の側面では、商人の営業能力に関する制度及び議論状況の変遷について整理できたほか、より一般的に、商法・会社法において歴史研究を行う際の文献調査方法に親しむことができた。また、明治時代の新旧民法典・新旧商法典の立法資料等を精読することにより、本研究とフランス法との関連性について改めて認識することができた。 前述の①研究会報告では、a~dの時期区分に基づき商人の営業能力等に関する制度の変遷について述べたのち、現代社会において商人の営業能力が問題となりうる状況(個人商人が高齢となり判断能力が低下した場合、判断能力不十分者が起業しようとした場合等)を想定した上で、現行法の解釈によりどのような解決策を提示しうるかについて検討した。以上の研究成果を所属研究機関の紀要で公表するため、本年度は平成11年の成年後見制度の導入前までの状況(a~c)について論文の執筆を進めた。 前述③においてフランスの会計監査役制度の最新動向を調査する関係で、本年度は、フランスにおける企業サステナビリティ報告指令(CSRD指令)の国内法化の内容も確認した。サステナビリティ情報の開示を通じて判断能力不十分者を含む企業人材の多様化等につながるものと考えるため、本研究と並行してこの点に関する論文の執筆にも取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(令和6年度)は、商人の営業能力等に関して、平成11年の成年後見制度の導入前までの状況(a~c)と導入後の状況(d)について2本の論文を完成させ、所属研究機関の紀要で順次発表する。以上の作業と並行して、株主が判断能力不十分者である場合の議決権行使(法定代理人による議決権の代理行使も含む)と株主総会決議の効力に関して日本法の文献調査を進める。明治時代から現在に至るまでの会社法の教科書、コンメンタール等を精査するほか、近時の関連判例もリスト化して整理する。また、本研究に先行する科研費の研究課題(基盤研究(C)、19K01366、「欠格条項廃止に伴う会社法と成年後見法の理論的交錯の解決を目指す民商法共同研究」、研究代表者:上山泰)の研究成果について、次年度中に共著書を刊行する予定である。 フランス法の文献調査に関しては、新型コロナウィルスの感染状況等を見つつ、可能であればフランスに渡航して現地調査を行う。未成年者保護制度及び成年後見制度に関する文献に加えて、社員の権利に関する文献及び社員の地位の得喪に関する文献を入手し、フランスの制度及び議論状況を整理・分析する。 本研究の最終年度(令和7年度)はまず、判断能力不十分者である株主の議決権行使及び株主総会決議の効力に関する研究成果を所属研究機関の紀要等で発表する。残りの研究期間は、判断能力不十分者である株主の地位の得喪に関して日本法の文献調査を行い、フランス法も参照しながら論文を執筆し、同年度内の研究成果の公表を目指す。 現在、法制審議会民法(成年後見等関係)部会では、成年後見制度のこれまでの三類型(成年後見・保佐・補助)の廃止も視野に入れて議論が進められていると聞く。しかし、これまでの制度のもとでの議論状況及び問題点を明らかにしておくことがまず重要と考えるため、本研究期間は引き続き現行制度をベースに研究を進める。
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