Project/Area Number |
22K01229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 克典 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (30283055)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 詐害行為取消権 / 会社分割 / 債権者異議手続 / 会社債権者 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、会社法において会社債権者が訴えにより無効または取消しを主張することができる会社の行為について、会社法上の請求と民法上の詐害行為取消請求とのそれぞれの効果、要件、提訴権者等を明らかにすることを目的とする。 本研究においては、会社法上の請求と民法上の詐害行為取消請求との間の関係に加えて、会社債権者の保護と会社債権者の会社経営への関与との間の関係を基本的な観点に据える。
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Outline of Annual Research Achievements |
分割会社に残存する債権者を害する新設分割について、2012年最高裁判例(最二判2012年10月12日民集66巻10号3211頁)は、当該債権者に詐害行為取消権(民法424条)を認めることにより処理することを認めた。詐害行為取消権による処理の妥当性について、設立会社に対する請求と設立会社が有する権利とを考察した。 新設分割においては、詐害行為取消権の行使により新設分割の取消しとともにする請求は、結論として価額賠償が妥当であるとしても、現物返還の困難性(民法424条の6第1項)は、詐害行為取消権の対象が新設分割であることを理由にしては、従来の困難性の理解からは認められないと考えられる。 新設分割が取り消された場合には、設立会社は、分割会社に対して、自己株式の取得の手続等の問題から、設立会社の株式の返還を請求することはできず、価額償還を請求すること(民法425条の2)ができると解される。 こうような考察を踏まえると、新設分割が詐害行為取消権の行使により取り消された場合には、設立会社に承継された債権者に不利益が生じる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
株式会社の行為の無効または取消しを主張するには、会社法上の無効の訴えと民法上の詐害行為取消権とがある。このうち、後者の詐害行為取消権について、2017年民法改正に関わる議論も踏まえて、詐害行為取消権の行使による新設分割の取消しを認めることによる効果を考察し、一定の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
会社法における債権者異議手続について、考察する。株式会社の行為の無効の訴えまたは詐害行為取消権の行使は、事後的な債権者保護の手段であるのに対して、債権者異議手続は、事前の債権者保護の手段であり、株式会社の行為の効力の発生を妨げない手段である。そのため、債権者異議手続と株式会社の行為の無効の訴えとの間の関係等を踏まえて、会社法における債権者異議手続の意義について、検討する。 従来の債権者異議手続に関する見解、債権者異議手続の終了と株式会社の効力の発生との間の関係等の考察を基礎にして、考察する。
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