提訴権拡充のための民事訴訟法・弁護士法・信託法の領域横断的研究
Project/Area Number |
22K01234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀野 出 九州大学, 法学研究院, 教授 (90304568)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 訴訟担当 / 善管注意義務 / 訴訟告知 / 選定行為 / 訴訟代理 / 訴訟信託 |
Outline of Research at the Start |
民事訴訟の利用者に対し訴訟へのアクセスをより確実に保障するためには、争われる権利義務の主体自らではなく、第三者による提訴の途を開くことが必要である。しかし、そこには、民事訴訟法のみではなく、弁護士法や信託法の要請からくる制約がある。これらの3法は、それぞれの趣旨・目的をもって制定されているところ、アクセスの場面では、3法が相互に交錯して、第三者が他人の権利ないし法律関係に訴訟により関与することを制約する一つの法領域を形成していることが看取できる。 本研究では、このような領域における各法規の関連の仕方を解明し、他人の権利・法律関係についての第三者の提訴権の拡充のための理論的制度的提言を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、他人の権利・法律関係についての第三者の提訴権の拡充のための理論的・制度的検討を行うものであるが、ここまでの研究期間においては、第三者の訴訟担当の効果面を中心に、以下の(1)~(4)の帰結に至るまでの考察を進めることができている。 (1)財産管理人のように実体法に善管注意義務が課せられることが規定されている場合のみならず、実体法に該当の規定がない場合であっても、およそ訴訟担当者は被担当者の権利義務に関する訴訟追行について善管注意義務を負う。(2)善管注意義務に反した訴訟追行による確定判決の既判力が民訴法115条1項2号により被担当者に拡張されるその根拠は、手続保障(利益行使)の代行とはなしえず、同一の訴えを提起される負担からの相手方当事者の保護とせざるをえない。結果として、115条1項2号の根拠は、広く一般に、手続保障(利益行使)の代行と相手方当事者の保護の二元的に構成されることになる。(3)訴訟担当者の善管注意義務に反した訴訟追行による判決が確定した場合には、被担当者は訴訟担当者に責任追及(善管注意義務違反を理由とする損害賠償請求)をなしえ、このことは被担当者に訴訟告知がなされている場合でも、被担当者からの訴訟追行の授権がされている場合でも、変わることはない。(4)また、訴訟担当者による訴訟上の和解は、仮に被担当者の関与のないままの和解であっても、それが善管注意義務に反していないと評価できる場合であればその効力を認めてよい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22年度は、他人の権利・法律関係についての第三者の提訴権の拡充のための理論的検討という本研究における考察テーマの一環として、訴訟担当者の訴訟追行にかかる効果の検討を主として行った。他人の権利・法律関係について訴訟を追行しその結果に当該他人を拘束する訴訟担当においては、訴訟担当者にはその訴訟追行に善管注意義務があることを指摘し、当該義務違反には、広く一般論として、他人からの損害賠償責任を伴うことを帰結しえた。 以上にかかる検討内容については、22年9月に関西民事訴訟法研究会において研究報告を行い、それを通じてまとめた成果を、「訴訟担当者の善管注意義務と訴訟追行の効果の規律」と題する論稿として、日本民事訴訟法学会の学会誌である民事訴訟雑誌69号に掲載することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、適宜必要な文献資料を補いつつ、第三者が他人の権利・法律関係について訴訟追行する場合についての総合的考察を進めていく。23年度は、この作業を、当事者適格や訴訟担当といった民事訴訟理論上の重要問題点の検討について継続するとともに、民事訴訟法以外の領域である信託法および弁護士法との関連を究明する。とりわけ、弁護士法72条・73条はじめとして民事訴訟領域に大きく影響するとされる弁護士法との関係を究明したいと考えている。 研究成果については、22年度と同様に、一応のまとまりをみた段階で九州地区や関西地区での研究者および実務家法曹により構成される研究会にて報告を行い、そこでの意見を参考にしてブラッシュアップをはかる。そのうえで、本研究テーマの周辺領域における研究成果の公表と並行して、本研究のテーマにかかる論稿を所属大学紀要等に公表することも予定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)