Comprehensive Research on Discretionary Trusts
Project/Area Number |
22K01244
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
木村 仁 関西学院大学, 法学部, 教授 (40298980)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 裁量信託 / アメリカ法 / 受託者 / 信託法 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、裁量信託をめぐるアメリカ法の判例、制定法、リステイトメント、学説等を参考に、①裁量信託の受託者の裁量権濫用の基準およびその判断要素は何か、②受益者の一般債権者が、裁量信託における受益権に対する差押え等の強制執行を認められるのはいかなる場合か、③裁量信託の受託者が、その裁量権にもとづいて受託者のみの意思表示により信託を変更することができるのはいかなる場合か、という法的問題点について、関連する民法上、民事執行法上の理論および信託の実務を踏まえたうえで、総合的かつ多面的に検討するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度においては、アメリカにおける裁量信託の受託者の裁量権行使または不行使に関する受託者の責任を研究した。受託者に裁量権を与えた委託者の意思を尊重しつつ、信託条項で定められた受益者の利益を保護するために、受託者による裁量権の濫用があった場合には、受託者が責任を負うとされている。最終的には、裁量権行使における受託者の主観的態様または動機、信託の目的および裁量権が付与された目的、裁量権行使の基準、委託者が知っていた受益者の状況、委託者と受益者との関係、受益者を扶養する義務を負う者の存在、および関連する信認義務の内容などが総合的に勘案され、裁量権濫用の有無が判断されていることを明らかにした。 受託者による裁量権の濫用が肯定されるのは、①不誠実なまたは不当な動機に基づいて裁量権を行使した場合、②必要な情報を取得せず、もしくは必要な情報を考慮しなかった場合、または③裁量権行使の内容が合理性を欠く場合である。各類型において、アメリカの判例が、いかなる考慮要素にもとづいて裁量権濫用の有無を判断しているかを分析した。 また、裁量権の濫用が肯定される場合、受益者にいかなる救済が与えられるか、アメリカの判例を分析した。特に、信託の目的、裁量権が付与された目的および裁量権行使の基準などにより、受益者の状況に応じて給付されるべき合理的な額を導き出すことが可能な場合には、受託者が一定額の支払を命じられることがあることが判明した。 以上の点を明らかにし、分析を加えた論稿を、「アメリカ法」2022-1号に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、裁量信託の受託者の責任に関するアメリカ法の状況を検討し、これを公表することができたので、研究はおおむね順調に進展しているといえる。 日本においても、裁量信託の受託者の義務違反を認めた下級審判例が現れているが、その理論構成を検討する必要がある。今後の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、アメリカ法において、裁量信託の受益者の債権者または受益権の譲受人が、いかなる場合にいかなる方法により受益権に対して権利行使をすることができるかを明らかにし、分析を加えることとする。特に、第2次信託法リステイトメントまでのルールが、第3次信託法リステイトメント、統一信託法典および各州の制定法により、いかなる理由でいかなる変遷を遂げたのかを精査することを計画している。そのうえで、我が国において、裁量信託および扶養信託の受益権の譲渡性・差押可能性がいかに解されるのか、アメリカ法の分析から示唆を得て検討したい。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)