Project/Area Number |
22K01245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
牧 真理子 福岡大学, 法学部, 教授 (60648054)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 経営判断 / D&O保険 / 会社補償 / 役員の責任 / 経営判断原則 / ドイツ株式法 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、令和元年改正会社法において立法化された会社補償およびD&O保険について、填補の範囲や運用の適正性に着目し、両制度の調整のあり方を検討するものである。両制度は役員の責任追及にに対する責任救済措置として併存しているが、運用のあり方や協働関係について十分に明らかであるとはいえない。本研究では、当該分野の 制度設計を包括的に検討し、救済措置の役割分担、円滑な運用のための調整について考察する。本研究を遂行するにあたっては、ドイツ法における関連分野を比較法的に分析し、それにより抽出した知見をもとに日本法への提言を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年目である2023年度は、第一に、役員の責任追及に関する裁判例の検討、第二に、会社補償に関するドイツの議論状況の把握を行った。 第一の点については、東京電力株主代表訴訟第一審判決の判断枠組みについて、所属する研究会において研究報告を行った。東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故に関して、最高裁は国家賠償訴訟について国の責任を否定していたが、本件株主代表訴訟第一審判決は、取締役の善管注意義務違反による任務懈怠があったと示した。報告では、本研究のテーマに関連して、国家賠償訴訟も参照しながら訴訟ルートや取締役の経営判断の裁量の問題を中心に検討を行った。本報告の成果は、所属先紀要において公表する予定であり、大幅な加筆修正を行なっている段階にある。 第二の点については、関連する資料を渉猟し、ドイツにおける会社補償制度の理解を進めた。D&O保険と会社補償は、いずれも役員等の責任追及に係る費用等の経済的負担を軽減する効果があるが、会社補償に関して、適用範囲や手続きのあり方について、より一層の検討を行う必要があると考える。現在までの分析の結果、ドイツでは、会社補償に関連してD&O保険のSide Bへの注目が一層高まっていること、有限会社に関して議論が存在すること等を含めて、手続面について検討されていることがわかった。第二の点についても、2024年度内に所属先紀要への投稿を目指し、検討内容の調整をしている段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドイツ法を比較対象とした研究という性質上、2024年度内に現地調査を行う計画を立て、2023年度内にはそのための準備をある程度終えておく予定にしていた。しかし、他の研究テーマの検討が予定よりも時間的にずれ込み、本研究がその分遅延してしまい、ドイツ法の基礎部分の検討が当初予定より遅れている。さらに、海外出張自体も、コロナ禍等、昨今の問題があり延期している。このように研究の進捗がやや遅れているが、研究全体としては、上記研究実績記載の内容については進められているので、研究時間を調整することで遅れはある程度回復させられると考えており、そのための努力を続けていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、第一に、昨年度中の検討内容について、本研究の中間のまとめとして論文2本の公表をするべく執筆を進める。第二に、役員の責任追及に関するD&O保険と会社補償の関係性について法制度の仕組みと調整について検討する。そのなかで、昨年度の研究実績の第二の点について裁判例や学説の整理が十分ではないため、本年度は精緻に行う予定である。 本研究のすべての年度を通して、役員の責任追及に対する救済制度がそれぞれどのように作用するのが望ましいのか、包括的に検討している。研究を進めるにあたって、当初予定の範囲から拡大して検討対象が広がることもありうると考えており、他の法領域についての先行研究の研究にも努め、研究の発展と応用について、調整と方向性を示していく予定である。
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